基本情報
内容詳細
中世末の15世紀、旧ヨーロッパ世界の破局に当面したクザーヌスは、新しい世界のヴィジョンを開くために、どこに突破口を求めたのか。老子とクザーヌス、西田幾多郎とクザーヌス…さまざまな角度から、時代に先駆けた思想の苦闘を照らし、暴力と排除の予感が渦巻く現代世界の混沌を超えて、平和と共存の新たな物語を紡ぐための、構想力の足場を探す。
目次 : 中世から現代を読む―グローバリゼーション、アイデンティティ、そして普遍的正義/ 1 破局の諸相(原発破局「フクシマ」の原因を探る―哲学の視点からの一考察/ 現代日本におけるアイデンティティの分裂/ 日本社会における“社会崩壊”と企業活動/ 近代的思考様式の限界についての一試論―「科学・技術」との関わりを中心にして)/ 2 他者の衝撃(『信仰の平和』におけるタタール人像―“破局”のただ中での“他者”への眼差し/ クザーヌスにおける理性の普遍性と哲学の複数性―『信仰の平和』を中心にして/ “他者”の豊穣性)/ 3 語りえぬものへの“開かれ”と“閉ざされ”(西田幾多郎におけるクザーヌスとの出会い/ 東アジアにおける“知恵”概念の伝統とクザーヌスの“知恵”概念―“知恵”と“道”、“無学者”と“愚人”/ 西欧における「開かれた世界、開かれた書物」)/ 4 大きな物語の改訂(“文明の衝突”の時代の宗教的寛容論/ “文明の衝突”を超える視点)/ 現代に生きる中世
【著者紹介】
八巻和彦 : 1947年生まれ。専攻、中世哲学・文明論。現在、早稲田大学商学学術院教授。国際クザーヌス協会学術顧問。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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