「ふつうのおんなの子」のちから 子どもの本から学んだこと

中村桂子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784420310819
ISBN 10 : 4420310812
フォーマット
発行年月
2018年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
255p;19

内容詳細

生きものと本が大好きな生命科学者が、幼少期から親しんだ児童文学のヒロインたちから「ふつうのおんなの子」という生きかたを取りだし、その視点から見えてくる世界と可能性について魅力たっぷりに語る自伝的エッセイ。

本文「私の中の『ふつうのおんなの子』」より
 21世紀がどんな時代であってほしいか。考えてみると、最近の社会は私が望むものとはずいぶん違います。もちろん、いつの世も社会が問題点を抱えているのはしかたのないことですが、なんだかふつうの人がふつうに生きることができにくい方向に動いている気がしてなりません。私自身は20世紀を生きてきた人間であり、この世紀をそれほど長く生きることはないでしょうが、子どもや孫、さらにはその先の人々が暮らしやすい世の中であってほしいと強く願っています。
 そこで私の思いを語ります。深遠な学問や数値からではなく、そんな気がする、そうであったらいいなという願いなのですが。長い間、生きものの研究を基本に「人間は生きものであり、自然の一部である」という事実を大切にする社会であってほしいと願ってきた立場から思うことです。
 私は「日常の中で接するものやことをよく見て、自分の言葉で考え、納得しながらふつうに暮らす」という生きかたをしてきました。本を読んだり、考えたりするのは大好きですが、難しい抽象は苦手で、身近で小さなところに楽しみを探してきました。それを「女の子」、それも「ふつうの女の子の生きかた」と括り、「女の子が活躍する社会」になったら生きやすいのではないか、そうしたいという気持ちになっています。

【目次】
 私の中の「ふつうのおんなの子」
1『あしながおじさん』の女哲学者
2『長くつ下のピッピ』の自由な生きかた
3『やかまし村の子どもたち』のふつうを絵に描いたような日々
4 おんなの子の戦争と平和
5 少女時代に読んだ本
6『若草物語』の四人姉妹
7 ケストナーと子どもの世界
8『モモ』の時間感覚
9『ハイジ』を取りかこむアルプスの自然
10『小公女』の語る力
11『赤毛のアン』を支える人々
12「虫めづる姫君」の観察眼
 「ふつうのおんなの子」の未来に向かって
 あとがき

【著者略歴】
中村 桂子(なかむら けいこ)
1936年東京都生まれ。東京大学理学部化学科卒業。同大学大学院生物化学専攻博士課程修了。理学博士。JT生命誌研究館館長。
著書に『生命誌とは何か』(講談社学術文庫)、『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫/毎日出版文化賞受賞)、『あなたのなかのDNA』(ハヤカワ文庫)、『ゲノムが語る生命』(集英社新書)、『科学者が人間であること』(岩波新書)、『知の発見 「なぜ」を感じる力』(朝日出版社)、『ゲノムに書いてないこと』『小さき生きものたちの国で』(ともに青土社)、『いのち愛づる生命誌(バイオヒストリー)』(藤原書店)他多数

【著者紹介】
中村桂子著 : 1936年東京都生まれ。東京大学理学部化学科卒業。同大学大学院生物化学専攻博士課程修了。理学博士。国立予防衛生研究所研究員、三菱化成生命科学研究所人間・自然研究部長、早稲田大学人間科学部教授、大阪大学連携大学院教授などを経て、JT生命誌研究館館長。著書に、『自己創出する生命』(ちくま学芸文庫/毎日出版文化賞受賞)他多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ネギっ子gen さん

    生きものと本が大好きな生命科学者が、幼少期から親しんだ児童文学のヒロインたちから「ふつうのおんなの子」という生きかたを取りだし、その視点から見えてくる世界と可能性について魅力たっぷりに語る自伝的エッセイ。「女の子」ではなく、「おんなの子」という表記にした理由。<「女」という文字には、現代社会の価値観が入っているような気がするのです。その典型が/ボーヴォワールの「人は女に生まれるのではない。女になるんだ」と/私の中に自ずと生まれてくる「おんなの子がおんなの子である本質」を生かすことを求めているのです>と。⇒

  • ルピナスさん さん

    「ふつうのおんなの子」に引っかかりましたが、標準化を目的とした表現ではありません。生命誌の研究第一人者であり、人間が地球の一部として謙虚な気持ちで平和的に生きることを大切に思う作者が、その実現のためには、子どもの頃備えていた、本質を問い、理不尽には屈せず、世間の価値観や評価よりも自分がよいと思うことをやる性質を良しとする「おんなの子」に戻ってみませんかと、嘗て親しんだ長靴下のピッピやモモなど、読書を通じて出会えるおんなの子を題材に提唱した本です。静かで控え目ながら説得力のある声。宝物の一冊に出会えました。

  • アセロラ さん

    権力重視で人を蹴落としてゴールへまい進するのではなく、まわりの人にも目を向け自然の一部の生きものとして歩んでいく人のことを「おんなの子」と表現しています。性別でいう「女の子」とは異なり、高齢でも男性でも「おんなの子」は備わってるとのことです。そんな「おんなの子」の生き方を、名作の登場人物から解説しています。つまり、戦争や蹴落とし合いなどせず、穏やかに生きようという道徳的な感じです。ずっとその繰り返しです。人間の基準という人はいない、子どもは子どもとして生きる、悩むな考えよ、など印象的な言葉もありました。

  • Mc6ρ助 さん

    競争的には生きない。特に戦争はしない。日常の小さな事柄を楽しむ、などに集約されるのだが、それに共感するにしても、「ふつうのおんなの子」と何度も繰り返されると、アラ還の爺さまとしてはこ恥ずかしい。女性の方が人生を楽しむスベを心得ているとしても、この本の「ふつうのおんなの子」をすべて「ふつうの人間」に置換してもほとんど意味が通ってしまう「ふつうのおんなの子」とはいったい何者なのだろう。

  • すぱちゃん@しばらく低浮上になりますが、元気です さん

    著者は生物の染色体を調べ、その系統分類という難しい学問を通して生命誌というさらに大きな学問されている著名な学者さんですが、その彼女自身がふつうのおんなの子なんです。ふつうのおんなの子とは、男社会に媚びへつらうことなく、かと言ってかた意地はることなく、戦争を嫌い、おんなの子の知恵で良い関係を築いて行こうとしてます。ここで紹介されている児童書も映画やアニメ化されたものが多く、ふつうのおんなの子の要素を持ったふつうのおとこの子のわたしも馴染み深いものがあります。ナウシカ、久しぶりに引っ張り出して、読もうかな。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品