江戸川乱歩と横溝正史

中川右介

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087816327
ISBN 10 : 408781632X
フォーマット
出版社
発行年月
2017年10月
日本
追加情報
:
334p;19

内容詳細

江戸川乱歩「君、こんど『犬神家の一族』というのを書くだろう。ぼく犬神だの蛇神だの大嫌いだ」
横溝正史「復活以後の江戸川乱歩こそ悲劇のほかの何者でもない」


日本の探偵小説を牽引した二大巨頭、江戸川乱歩と横溝正史。
盟友として、ライバルとして、お互い認め合い、時に対立しつつ、
一方が作家として執筆するとき、他方は編集者として支えた。
太陽と月にも喩えられる日本文学史上稀な関係は、どのように生まれ育まれたのか。
二人の大作家の歩みを辿りながら、日本のミステリ史のみならず、
日本の出版史をも描き出す、空前の対比評伝!

「江戸川乱歩と横溝正史――二人を太陽と月に喩えることができるかもしれない。
乱歩が旺盛に書いている間、横溝は書かない。横溝が旺盛に書いていると、乱歩は沈黙する。
天に太陽と月の両方が見える時間が短いのと同様に、
二人がともに旺盛に探偵小説を書いている時期は、ごくごく短いのだ」〈本文より〉

「おそらくは、親友でもありライバルでもあった。
だが、何よりも面白い探偵小説を求める同志だった。
二人がなぜ探偵小説を書いていたのかと言えば、
面白い作品がないので自分で書いていたに過ぎない。
乱歩は誰よりも横溝に読んでほしかったし、
横溝もまた乱歩に読んでもらおうと書いていた」〈「青春と読書」2017年11月号より〉

●目次
はじめに
第一章 登場――「新青年」〜一九二四年
第二章 飛躍――『心理試験』『広告人形』 一九二五年〜二六年
第三章 盟友――『江戸川乱歩全集』 一九二六〜三一年
第四章 危機 『怪人二十面相』『真珠郎』 一九三二〜四五年
幕間 一九四〇年〜四五年
第五章 再起――『黄金虫』『ロック』『宝石』 一九四五〜四六年
第六章 奇跡――『本陣殺人事件』 一九四六〜四八年
第七章 復活――『青銅の魔人』 一九四八〜五四年
第八章 新星――『悪熊の手毬唄』 一九五四〜五九年
第九章 落陽――乱歩死す 一九五九〜六五年
第十章 不滅――横溝ブーム 一九六五年〜八二年
あとがき

●著者プロフィール
中川 右介(なかがわ ゆうすけ)
作家、編集者。1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、代表取締役編集長として雑誌『クラシック・ジャーナル』、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける(2014年まで)。その一方で作家としても活躍。クラシック音楽への造詣の深さはもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、漫画などにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している。主な著書に『カラヤンとフルトヴェングラー』『歌舞伎 家と血と藝』『角川映画1976-1986』など。

【著者紹介】
中川右介 : 作家、編集者。1960年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、代表取締役編集長として雑誌『クラシックジャーナル』、音楽家や文学者の評伝や写真集の編集・出版を手掛ける(2014年まで)。その一方で作家としても活躍。クラシック音楽への造詣の深さはもとより、歌舞伎、映画、歌謡曲、漫画などにも精通。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる執筆スタイルで人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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やっぱりこの二人、いずれ劣らぬクセのある...

投稿日:2018/05/12 (土)

やっぱりこの二人、いずれ劣らぬクセのある者同士ですね。 過剰なまでの「われこそは」の自信家であると同時に、どこか「世間の常識人とは相容れない思い」からの自嘲や、突然の自信喪失が、現実的な病弱体質と相まって同居している。 そんな似たもの同志の二人が、戦前戦後の激動期に、時には反駁しながらも、不思議とお互いの作家活動を補完するめぐりあわせで刺激しあいながら、その文才を開花、昂進していくさまを目の当たりにするように書かれている。 これは、単なる評伝、報告書ではなく、立派な読み物として楽しめる好著と言える。

momiji_rentan さん | 和歌山県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • へくとぱすかる さん

    とにかくすごい! 二人は日本のミステリの歴史そのものだと言っても過言ではない。出版事情までも含めて詳細に述べられた評伝は、一度読み出したら止まらない。あれがああなのは、こうだったからなのか! という発見がとても多く、驚きの連続であった。「負けるものか」というライバルであると同時に、お互いに助け合って、日本のミステリを興隆させた功績は絶大なものだった。

  • 山田太郎 さん

    江戸川乱歩がそう好きでもないせいか面白かったのかそうでなかったのかよくわからん。エログロ趣味があんまり自分にないから、いまいち敬遠してるのかもしれんが。エロは好きなんだけど、エロはエロだけがいいや。いやんすけべ。

  • おかむら さん

    探偵小説の二大巨頭、乱歩と横溝の対比評伝。2段組で分厚くて大変だったけどもコレは超面白い! 著者の調べ力とまとめ力に圧倒されます。中川右介ほんとスゴイな! 2人の交流と共に推理小説発達史と戦前戦後の出版業界興亡史も描く試み。小学生の頃読んだポプラ社の怪人20面相シリーズや中学の時どハマりした角川文庫の横溝、そこに至るまでの道のりが大河ドラマのようだわ。外国の探偵小説の話を夜通ししちゃう2人がカワイイ。

  • ぐうぐう さん

    江戸川乱歩と横溝正史、日本の探偵小説をリードしたミステリ界の巨人。二人について論じられた書籍は山のようにある。中川右介は、乱歩と横溝の交友に焦点を当てながらも、そこに出版史を絡ませることで、既刊との差別化を図る。膨大な文献を丁寧に調査、精査し、可能な限り事実にこだわる。中川の著作の、それはいつもの手法だ。作家論でもなく、本格評伝でもない、事実のみが列挙されたスタイルが、逆に新しい視点を生み出すことを中川は知っているのだ。中川のその姿勢は、ときに伝説の虚飾を剥ぎ取っていく。(つづく)

  • カザリ さん

    今週は金田一シリーズを観ていましたが、原作者横溝の家系図と犬神家がほぼ一緒で驚愕してまふ

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中川右介

作家、編集者。1960年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、「アルファベータ」を設立。2014年まで、代表取締役編集長として雑誌「クラシックジャーナル」ほか、音楽家や文学者の評伝、写真集の編集・出版を手掛ける。一方で作家としても活躍。クラシック音楽のほか、歌舞伎、映画、歌謡曲な

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