『声楽、室内楽作品集〜シェーンベルク：室内交響曲第１番の三重奏版付き』　ロバート・クラフト指揮・監修、フィルハーモニア管、ジョセフォウィッツ、シェリー、他

ロバート・クラフト／ヴェーベルン：声楽、室内楽作品集

シェーンベルクやベルクと並ぶ新ウィーン楽派（主に1900年代初頭にかけてウィーンで活躍した作曲家の集団）の中核メンバーであったヴェーベルン。当時最も先鋭的な作風で知られるも、出版された作品はたった31曲と少なく、番号なしの作品を含む全集を作ったとしてもＣＤ６枚に収まってしまうというというから驚きです。その分、各曲の凝縮度は高く、どれもが熟考の上に生み出されたものであり、後世の作曲家たちに与えた影響力は本当に強く、現在でも彼の作品は孤高の芸術として高く評価されています。もちろん、当時の最先端を行く音楽ですから、最初はとっつきにくいかもしれません。しかし、例えば優れた数学者が美しい数式を愛するが如く、彼の複雑な音楽も、深く知れば知るほどにその魅力から離れられなくなるものです。
　時代によって作風を変化させて行った人でもあり、ここに収録されている1910年代の曲と、1930年代の曲を聞き比べてみると、その変容が理解できるかと思います。また、シェーンベルクの『室内交響曲』の編曲版も興味深いものです。この時代の作品の良き理解者ロバート・クラフトの説得力ある演奏で。（NAXOS）

【収録情報】
ヴェーベルン：
1.　『第7の環』による5つの歌曲 Op.3 (1908-1909)
　これはお前だけの歌だ
　私の問いは嵐のように生き生きしていた
　小川のほとりを朝早くただひとり
　朝霧の中に君は歩み行く
　木は葉を落とし

　録音時期：2011年9月28日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

2.　5つの歌 Op.4 (1908-1909)
　序詞
　まだ私の誠がお前を見守らせる
　そうだお前に祝福と感謝を
　私は苦しみの中ではただ一つのことしか知らない
　お前たちは炉辺へと歩みよった

　録音時期：2011年9月29日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

3.　弦楽四重奏のための6つのバガテル Op.9 (1911)
　Massig
　Leicht bewegt
　Ziemlich fliessend
　Sehr langsam
　Ausserst langsam
　Fliessend

　録音時期：2011年9月30日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

4.　4つの歌 Op.12 (1915-1917)
　日は暮れて
　神秘的な笛
　私は太陽を見たと思った
　似たもの同志

　録音時期：2011年9月28日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

5.　3つの歌『道なき道より』 Op.23 (1934)
　暗い心
　天の高みから清らかさが舞い下り
　わが主イエスよ

　録音時期：2011年9月29日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

6.　3つの歌 Op.25 (1934)
　何と喜ばしい私
　心の真紅の鳥は夜のしじまに
　星よ、お前たちは夜の銀の峰

　録音時期：2011年9月30日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

7.　弦楽四重奏曲 Op.28 (1936-1938)

　録音時期：2011年9月29日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

8.　カンタータ第1番 Op.29 (1939)

　録音時期：2008年7月27-30日
　録音場所：ロンドン、アビーロード第1スタジオ

9.　シェーンベルク：室内交響曲第1番 Op.9（ヴェーベルンによるフルート、クラリネットとピアノ編） (1906/1923)

　録音時期：2013年6月10-11日
　録音場所：ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

　トニー・アーノルド（ソプラノ：1,2,4,5,6）
　クレール・ブース（ソプラノ：8）
　ジェイコブ・グリーンバーグ（ピアノ：1,2,4,5,6）
　キム・スーユン（フルート：9）
　チャールズ・ナイディック（クラリネット：9）
　リーラ・ジョセフォウィッツ（ヴァイオリン：9）
　フレッド・シェリー（チェロ：3,9）
　オリオン・ウェイス（ピアノ：9）
　ロルク・シュルテ（ヴァイオリン：3）
　タイ・ムライ（ヴァイオリン：3）
　デイヴィッド・フルマー（ヴィオラ：3）
　サイモン・ジョリー合唱団（8）
　フィルハーモニア管弦楽団（8）
　ロバート・クラフト（指揮、監修）

　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）