バレエ組曲『道』、愛の歌による交響曲、『山猫』より2つのワルツ　コンティ＆パレルモ大劇場交響楽団

ニーノ・ロータの協奏作品や室内楽など、「クラシカル作品」を着々とリリースしているChandosですが、ロータを語る上で欠かせない映画音楽からの作品にもだんだんと手が伸びてきているのは、ファンにとって嬉しいところです。
　まずは名画『道』をスカラ座からの委嘱でバレエ組曲に改作した組曲版。「道」は1951年の「白い酋長」から始まった「映像の魔術師」フェデリコ・フェリーニ監督とのコンビ作品の中でも、特に傑作の呼び声が高いことは、映画ファンならよくご存じのはず。白痴の女ジェルソミーナを奴隷として買った野卑な旅芸人ザンパノが、彼女と一緒に旅回りを続け、やがて僅かに残っていた人間性が蘇るまでを描いた不朽の名作。情熱的でありながらどこか哀愁を帯びたトランペットによる名旋律「ジェルソミーナのテーマ」なしには、この名画の魅力は語れません。バレエ組曲版は、その名旋律に加え、ほかの映画からの旋律も加えられ、いっそう華やかなものになっています。1959年の初演から今に至るまで、スカラ座のレパートリーとして定着している作品です。
　ルキノ・ヴィスコンティ監督の「山猫」は19世紀後半のイタリア統一戦争の時代を舞台に、山猫の紋章で300年間シチリアに君臨してきたサリーナ公爵家の次第に没落してゆく姿を淡々と追った1963年の名画。舞踏会の夜、公爵は村長の娘と踊りながら、旧秩序の崩壊と自分自身の終焉を感じとるシーンがラストのクライマックス。ヴィスコンティは、ロータが1947年に書きかけて放置していた交響曲の旋律を偶然耳にし、ロータを説き伏せて映画に用いました。この完成版『愛の歌による交響曲』は映画から９年後、ロータ自身が１つの交響曲として完全な形にオーケストレーションを仕上げたもの。
　そして、最後に収められているのは、映画「山猫」のラストを飾る舞踏会シーンのワルツ２曲。元貴族の家系に生まれたヴィスコンティはヴェルディの未出版のワルツをピアノ・スケッチの状態で所有していましたが、「秘蔵のお宝」だったそれをロータに渡し、オーケストレーションを依頼、それを舞踏会シーンに用いたとされています。
　イタリアの５大歌劇場のひとつ、パレルモ大劇場のオーケストラが、ロータの旋律を雄大に奏でます。（東京エムプラス）

ニーノ・ロータ：
・バレエ組曲『道』
・愛の歌による交響曲（映画『山猫』の音楽による）
・映画『山猫』〜ヴェルディのワルツ
・映画『山猫』〜最後のワルツ
　パレルモ大劇場交響楽団
　マルツィオ・コンティ（指揮）