スターバト・マーテル(オリジナル版)、カンタータ『ジョヴァンナ・ダルコ』　フォリアーニ&ヴュルテンベルク・フィル、ポズナン・カメラータ・バッハ合唱団、他

ロッシーニ:スターバト・マーテル(オリジナル版)

1831年2月、ロッシーニはマドリードに滞在していました。理由は彼の妻、イザベラ・コルブランが以前に大金を貸していた相手が、七月革命の影響で破産してしまったため、利益を保護してもらうようにスペイン王家に懇願するためでした。その際、マドリードの副司教マヌエル・フェルナンデス・バレラから作品を依頼されたロッシーニ、忙しさのあまり、簡単な曲を献呈することでそれに応えようとしましたが、バレラは『スターバト・マーテル』を書くように頼んできたのです。健康状態もすぐれなかったロッシーニは、その約束を反古にしようとしましたが、それは不可能。とうとう期限の日が近づいてしまったため、彼は友人ジョヴァンニ・タドリーニ[1789-1872]に助けを求め、2人の合作の形で全曲を完成、それをバレラに献呈したのでした。献呈の際、ロッシーニはバレラに「出版などはせず、スコアは門外不出で」と依頼したのですが、その約束は果たされず、バレラの死後、スコアがオークションにかけられ、更に様々な変遷を経て、現在通常に聴かれる版が作成されることになるのです(オリジナルの6曲に後で書いた4曲を足した版)。
　しかし、指揮者フォリアーニ[1976-]は、バレラに献呈された版の状態での演奏を試み、ピアノ譜が残存していたタドリーニの書いた分にオーケストレーションを施し、完全な形として復元することに成功しました。これはとても貴重な録音です。(輸入元情報)

【収録情報】
● ロッシーニ:スターバト・マーテル(1831/1832　オリジナル・ヴァージョン)
　1.　序奏「悲しみの母は立っていた」…ロッシーニ
　2.　アリア「呻き、悲しみ」…タドリーニ(フォリアーニ編)
　3.　二重唱「ああ、なんと悲しく、打ちのめされたことか」…タドリーニ(フォリアーニ編)
　4.　アリア「そして歎き、悲しんでいた」…タドリーニ(フォリアーニ編)
　5.　三重唱「涙をこぼさないものがあるだろうか」…タドリーニ(フォリアーニ編)
　6.　アリア「愛しい御子が」…タドリーニ(フォリアーニ編)
　7.　二重唱「さあ、御母よ、愛の泉よ」…タドリーニ(フォリアーニ編)
　8.　合唱とレチタティーヴォ「私の心を燃やしてください」…ロッシーニ
　9.　四重唱「聖なる母よ、どうかお願いします」…ロッシーニ
　10.　カヴァティーナ「あなたと共にまことに涙を流し」…ロッシーニ
　11.　アリアと合唱「おお乙女よ、審判の日に」…ロッシーニ
　12.　四重唱(ア・カペラ)「肉体が滅びる時には」…ロッシーニ
　13.　合唱「アーメン」…タドリーニ(フォリアーニ編)

　マジェラ・カラーフ(ソプラノ)
　ホセ・ルイス・ソーラ(テノール)
　ミルコ・パラッツィ(バス)
　ポズナン・カメラータ・バッハ合唱団
　トマス・ポトコウスキ(合唱指揮)

● ロッシーニ:ソロ・カンタータ『ジョヴァンナ・ダルコ』 (1832)(マルコ・タラッリ編管弦楽版)
　1.　レチタティーヴォ「夜は更け、全ての世界は眠りにつく」
　2.　アリア「お母様、私はいなくなります」
　3.　レチタティーヴォ「そして彼女はまだ泣いている、ああ、光は突然燃え盛る」
　4.　アリア「ああ、炎はあなたの目に映り、私を燃やし」

　マリアンナ・ピッツォラート(メゾ・ソプラノ)

　ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団
　アントニーノ・フォリアーニ(指揮)

　録音時期:2011年7月14,15,17日
　録音場所:ドイツ、ヴィルトバート、Ev.シュタッド教会
　録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
　世界初録音