隠れ歌曲王にしてヴォルフがお手本にしたというレーヴェの全集はCPOの偉業の一つしょう。 シューベルトに比べても決して遜色のない魅力があります。 印象に残るメロディという点ではシューベルトに分があるもののもっと聞かれても良い作曲家だと思います。 Ｆ.ディースカウも録音を少しですが残してます。

何種かあるプライのレーヴェのうち最初のもの。録音時33歳という若い声が聴ける。この力強さは貴重だ。特にトラック６「アーチボルト・ダグラス」での激しくほとばしり出るような表現には心を動かされる。プライが終り、トラック11でクヴァストホフが歌い始めると、うーん、普通の歌手だなあ、と思ってしまう。私としてはプライの10曲で満足だ。

何を歌ってもすばらしいFDだが、素晴らしいのは２枚組のうち古い録音のほうで、新しいほうは不満ののこる歌唱が幾つかある。うまくいえないが、歌にはまっていないような気がする。古いほうは自在な節回しに溜息が出たものだが…。よって旧は｢最高！｣新は｢OK]、まとめて「すばらしい」と評価する。

ﾊﾞｽﾌﾚｺｰﾄﾞがこの業界から撤退したのでほぼあきらめていたのに、CDで再発されるとは。こんな嬉しいことはありません。私はこの録音の｢山賊｣｢鳥刺しﾊｲﾝﾘｯﾋ｣でﾚｰｳﾞｪの虜になりました。比較的叙情的な作品を集めており、全曲がすばらしいできです。｢甘美なる埋葬｣｢精霊｣ではうっとりするようなやわらかい表現、｢ちっちゃな我が家｣での軽妙さ、｢崩れ落ちた水車屋」での寂寥感。これには全盛期のﾌﾟﾗｲの魅力が詰まっています。