レイナルド・アレナス

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襲撃 フィクションのエル・ドラード

レイナルド・アレナス

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784891769604
ISBN 10 : 4891769602
フォーマット
出版社
発行年月
2016年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
190p;20

内容詳細

舞台は唯一無二の独裁者「超厳師」が支配する絶対的な独裁国家。自由を剥奪され「けだもの」として扱われている国民には、ひたすら体制に奉仕するための強制労働が命じられているディストピア社会…。非人道的な抑圧システムが張り巡らされた世界で、禁止された“囁き”を密告し、遺反者たちを抹殺する取締員として頭角を現わした主人公は、首都を離れ各地を粛正して回る旅に出る。その真の狙いはただ一つ、母親を探し出して亡き者にするという妄執的な渇望だった…。キューバの亡命作家レイナルド・アレナスによる自伝的五部作の最後を飾る衝撃的な作品。

【著者紹介】
レイナルド・アレナス : 1943年、キューバ東部オリエンテ州に生まれる。経済的に困窮した少年時代を送るも、キューバ革命後にハバナ大学に入学。卒業後、国立国会図書館に勤務するかたわら貪欲に読書と執筆にはげみ、長篇『夜明け前のセレスティーノ』(1967年)でデビュー。それ以降は、六〇〜七〇年代の初期革命政府による芸術家や同性愛者への激しい弾圧により、国内での出版を禁じられるとともに、強制労働や投獄など過酷な体験をこうむった。国外で出版した『めくるめく世界』(1967年)の成功によって、ブームの一員として国際的な評価を獲得。1990年に自殺

山辺弦 : 1980年、長崎県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、日本学術振興会海外特別研究員として、ニューヨーク大学比較文学科に在籍。専攻、キューバを中心とする現代ラテンアメリカ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ユーカ さん

    本書はキューバ文学における『マッドマックス 怒りのデスロード』です。傑作。いや、冗談でなく。マッドマックス大好きだし。端から端まで怒りと暴力の火が付いたようなエネルギーに満ち満ちていて、怒りすぎているあまり主人公も物語もおかしな方向にぶっ飛んでしまうほど。もう読んでいて笑ってしまう。正義なんて爪の先ほどもない、ガッチガチの独裁国家の物語。翻訳もガリッガリで無茶苦茶カッコいい。

  • mm さん

    キューバの「1984」と言われるディストピア小説。自伝的長編小説5部作ペンタゴニアのラスト。訳されているのはこれと、一作めだけらしい。前の4作とは雰囲気がかなり異なるらしいのだが比べようはなくて残念。超厳師と呼ばれる絶対者は、均衡・比較の対象・安定・記憶などあらゆる価値観を意味しうるものをすべて消し去る。中心の喪失に基礎を置く新種の均衡とは?そこで人間はもう人とも呼ばない獣のようなものになっている。このおぞましい世界観。主人公は忠実な国家のしもべであるのだが、彼の存在の根源を規定する母とは、実は…おお!

  • スミス市松 さん

    「超絶厳帥」が支配するディストピア国家で一線級の「囁き取締員」として活動する主人公は、自らの生の根源である母への強烈な憎悪に駆り立てられ、己れの手で殺害する願望のみをもって国中をめぐり殺戮を繰り返していく。本書では、それまでアレナスが大切にしてきた哄笑と性欲、自由そして友愛は反転させられ殲滅の対象として貶められているとともに、母への憎悪も同様に――「母親の顔がどんどん俺自身の顔になっていた」――〈いま・ここ〉に生きる主人公、さらには病に冒され死期を悟り可能性を喪い続ける作家自身への憎しみへと反転している。

  • 三柴ゆよし さん

    アレナス畢生の〈ペンタゴニア(苦悩の五部作))、そのトリを飾る作品。第一作『夜明け前のセレスティーノ』から十有余年の月日を経て、またいかなる偶然か、フィデル・カストロの死という、キューバにとっての大きな歴史的転換点に重なるかたちでの翻訳、出版となった。それはともかく、まずは水声社と〈フィクションのエル・ドラード〉シリーズの責任編集を手掛けた寺尾隆吉、そして訳者である山辺弦の仕事に、五つの苦悩の戦士のひとりとして、平身低頭して感謝したい。生きているうちに読めてうれしいです、ほんとうにありがとうございます。

  • きゅー さん

    超絶厳帥を頂点とした全体主義国家。語り手の「俺」は囁き取締員として、不穏分子をいつでも好きなときに粛清することができる立場にある。しかし彼の関心はただ一つ、母親を見つけ出して殺すこと。ぶっとんだアイデアのディストピア小説。その残虐さは、一周回っておかしみすら覚える。語り手はこの全体主義国家の鏡像でもあり、国家と個人という二重の非人間性にとっての最大の恐怖として「母の愛情」が逆説的に現れてくるのかもしれない。ディストピア小説としての残酷な描写と、馬鹿げたユーモアが入り交じるおかしさが秀逸だ。

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