モーツァルト(1756-1791)

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CD 輸入盤

『フィガロの結婚』全曲 ゲオルグ・ショルティ&ロンドン・フィル、ルチア・ポップ、サミュエル・レイミー、他(1981 ステレオ)(3CD)

モーツァルト(1756-1791)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
4101502
組み枚数
:
3
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

ショルティ/フィガロの結婚(3CD)
吉田秀和氏も絶賛の名盤


「オペラのデッカ」として、かつてセッション・レコーディングに多くの資金を投じていた時代を代表する名盤のひとつ。
 デッカは1978年に、カラヤン&ウィーン・フィルによる『フィガロの結婚』をセッション録音していましたが、ほどなくデジタル時代が到来すると、新しい技術による『フィガロ』の全曲録音を、当時パリ・オペラ座の『フィガロ』上演で成功を収めていたショルティの指揮によって実施することとなります。
 ショルティといえばマーラーやシュトラウスなど大管弦楽を勇壮に鳴らすイメージが強いですが、モーツァルトやハイドンでは、ショルティの持ち味でもある、細部まで完璧に鳴らす、という手法が、小型のオーケストレーションの中でひときわ目立つことになり、交響曲などでも、その透明度高く声部情報の多いテクスチュアとフットワークの切れの良さが、作品から多彩な表情を引き出していたのが印象的でした。
 この『フィガロ』でもその基本姿勢は同じで、モーツァルトのオペラの中でもオケ・パートの特に雄弁なことで知られるこの作品ならではの、オーケストラのドライヴ感の効いた響きの中で、数多い登場人物の出入りを巧みに捌きながら、活気に満ちた演奏を聴かせているのが実に見事。
 こうした特徴は、3年前の流麗なカラヤン盤とはまさに対照的なところで、トータルの演奏時間はほぼ同じで、プロデューサーの一人、クリストファー・レイバーンと、エンジニアの一人、ジョン・ダンカーリーも共通ながら、たとえばどちらもシュターデが歌っているケルビーノのアリア「恋とはどんなものかしら」のオケ・パートを比較してみると、「横のカラヤン」、「縦のショルティ」ともいうべき違いっぷりがわかって非常に興味深いところでもあります。
 キャスティングはとても豪華。伯爵夫人役のキリ・テ・カナワは、1973年のプリッチャードのライヴ映像、1975年収録のベームの映像作品や、1990年録音のレヴァイン盤でもこの役を歌っており、それぞれ素晴らしく美しい歌唱を聴かせていましたが、完璧な彼女の歌を聴けるという意味ではこのショルティ盤が一番かもしれません(ちなみに彼女は1970年録音のクレンペラー盤では二人の少女のうちの一人を歌っていました)。
 スザンナ役は、リリカルな歌で魅了するルチア・ポップ。ポップは1980年のショルティのライヴ映像、1980年のベームのライヴ映像でもスザンナを歌っていました。彼女は、1986年録音のマリナー盤では伯爵夫人を歌っていて、そこでの気品ある抒情も最高でしたが、このスザンナ役のいかにも利発そうでキュートな歌もたまりません。
 ケルビーノ役はフレデリカ・フォン・シュターデ。1973年のプリッチャードのライヴ映像、1978年録音のカラヤン盤、1980年のショルティのライヴ映像、1985年のレヴァインのライヴ映像とどれも役柄にふさわしい複雑な表情を湛えた歌を聴かせていた彼女だけに、ここでのディテール表現力はさすが。
 フィガロ役はサミュエル・レイミー。パワフルな歌唱で役柄に必要な前向きな情熱を感じさせてくれる好唱です。
 伯爵役はトーマス・アレン。1985年のレヴァインのライヴ映像でも伯爵役を歌っていたアレンですが、1986年録音のムーティ盤ではフィガロ役を歌っていました。ここでは巧みな演技により、欲望に翻弄される小心な伯爵の心理を的確に表現しています。
 さらにこの全曲録音を魅力的なものとしているのが、レチタティーヴォ・セッコでチェンバロ演奏をおこなっている当時28歳のジェフリー・テイトの存在です。テイトはイギリス室内管弦楽団との交響曲全集や、内田光子とのピアノ協奏曲全集でもおなじみの指揮者で、この録音の2年前にはメト・デビューを飾ってもいましたが、少し前にオペラでショルティの助手をしていたこともあってか、ここではチェンバロ演奏に起用。歌手との絶妙なアンサンブルで、きわめて豊かな抑揚を持つ目覚ましいレチタティーヴォ・セッコを聴かせてくれています。(HMV)。

【収録情報】
・モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』全曲

 伯爵夫人:キリ・テ・カナワ(ソプラノ)
 スザンナ:ルチア・ポップ(ソプラノ)
 ケルビーノ:フレデリカ・フォン・シュターデ(メゾ・ソプラノ)
 フィガロ:サミュエル・レイミー(バリトン)
 アルマヴィーヴァ伯爵:トーマス・アレン(バリトン)
 バルトロ:クルト・モル(バス)
 マルツェリーナ:ジャーヌ・ベルビエ(メゾ・ソプラノ)
 ドン・バジーリオ:ロバート・ティアー(テノール)
 バルバリーナ:イヴォンヌ・ケニー(ソプラノ)
 アントニオ:ジョルジオ・タデオ(バス)
 ドン・クルツィオ:フィリップ・ラングリッジ(テノール)、他
 ジェフリー・テイト(チェンバロ))
 ロンドン・オペラ・コーラス
 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・ゲオルク・ショルティ(指揮)

 録音時期:1981年6月、12月
 録音場所:ロンドン、キングズウェイ・ホール
 録音方式:デジタル(セッション)

収録曲   

ディスク   1

  • 01. Overture
  • 02. Act 1: "Cinque... Dieci... Venti"
  • 03. Act 1: "Se a Caso Madama"
  • 04. Act 1: "Bravo, Signor Padrone!"
  • 05. Act 1: "La Vendetta"
  • 06. Act 1: "Via Resti Servita"
  • 07. Act 1: "Non So Piu"
  • 08. Act 1: "Cosa Sento!"
  • 09. Act 1: "Non Piu Andrai"
  • 10. Act 2: "Porgi Amor"
  • 11. Act 2: "Voi Che Sapete"
  • 12. Act 2: "Venite... Infinocchiatevi"

ディスク   2

  • 01. Act 2: "Che Novita!"
  • 02. Act 2: "Susanna or Via Sortite"
  • 03. Act 2: "Aprite, Presto, Aprite"
  • 04. Act 2: "Esci, Ormai, Garzon Malnato"
  • 05. Act 2: "Signori, di Fuori Son Gia"
  • 06. Act 2: "Voi Signor, Che Giusto Siete"
  • 07. Act 3: "Che Imbarazzo E Mai Questo"
  • 08. Act 3: "Crudel! Perche Finora"
  • 09. Act 3: "Hai Gia Vinta la Causa!"
  • 10. Act 3: "Riconosci in Questo Amplesso"

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総合評価

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初めて買ったフィガロです。キリ・テ・カナ...

投稿日:2018/07/07 (土)

初めて買ったフィガロです。キリ・テ・カナワの伯爵夫人が素晴らしい。私の中では今もって伯爵夫人のベストです。他の女声陣もすばらしく、ポップ、シュターデもそれぞれの役でベスト3には入ると思います。男声陣ではアレンの伯爵がうまい。アレンがフィガロを歌ったムーティ指揮版が私の愛聴盤ですが、本当に芸達者な歌手だなぁと思います。このムーティ版のヒュンニネンが伯爵のベストだと思っていますが。中学生の時、NHKでウィーン国立歌劇場公演を放送していて、そのときがヒュンニネンの伯爵、ヤノビッツの伯爵夫人でした。その後、このCDを買って、感動したのを覚えています。フィガロのレイミーも若々しい美声ですが、やや生硬かな。どうしてもロッシーニっぽく聞こえてしまう感じがします。悪くはないと思っていますが。

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ショルティは、先輩格のハンガリー人指揮者...

投稿日:2012/11/24 (土)

ショルティは、先輩格のハンガリー人指揮者で同様に米国を舞台に指揮活動を行ったライナーやオーマンディ、セルなどと異なり、オペラの分野において極めて幅の広いレパートリーを有していたことで知られている。とある影響力の大きい某音楽評論家の酷評によって、その実力の割には不当に貶められているショルティであるが、同時代に活躍した史上最高のレコーディング・アーティストであるカラヤンにも比肩し得るほどの数多くのオペラ演奏・録音を行った功績は、もっと広く知られてもいいのではないかとも考えられるところだ。ショルティは、その芸風との相性があまり良くなかったということもあって、モーツァルトの交響曲については、わずかしか演奏・録音を行っていないが、オペラについては、主要4大オペラのすべてをスタジオ録音するなど、確固たる実績を遺していると言える。本盤におさめられた歌劇「フィガロの結婚」の演奏は、そうした一連のモーツァルトの主要オペラの録音の頂点に立つものと言えるだろう。ショルティの芸風は、切れ味鋭いリズム感とメリハリの明晰さであるが、オペラ、とりわけモーツァルトのオペラを演奏する際には、そうした芸風を全面に打ち出すことをやや抑制しているような印象を受ける。それは、特に歌手陣への配慮によるところも大きいと言えるところであり、オペラを熟知したショルティの深謀遠慮と言った側面もあるのではないかと考えられるところだ。加えて、1980年代に入ると、前述のような芸風に円熟味や奥行きの深さが加わってきたとも言えるところであり、その意味においては、本盤の演奏は、ショルティによるモーツァルトのオペラ演奏の一つの到達点とも言うべき名演と言えるのかもしれない。もちろん、本演奏においても、楽想を明晰に描き出していくというショルティならではのアプローチは健在であり、他の指揮者による同曲のいかなる演奏よりも、メリハリのある明瞭な演奏に仕上がっていると言えることは言うまでもないところだ。そして、本盤で素晴らしいのは、何と言っても歌手陣であると言える。さすがはオペラを熟知したショルティならではの考え抜かれた的確なキャスティングと言えるところでであり、伯爵夫人役のキリ・テ・カナワ、スザンヌ役のルチア・ホップ、ケルビーノ役のフレデリカ・フォン・シュターデ、フィガロ役のサミュエル・レイミー、伯爵役のトーマス・アレン、バルトロ役のクルト・モルなど、当代一流の豪華歌手陣が最高の歌唱を披露しているのが素晴らしい。また、必ずしも一流とは言い難いロンドン・フィルも、ショルティの確かな統率の下、持ち得る実力を十二分に発揮した名演奏を展開している点も高く評価したい。音質も、英デッカによる見事な高音質録音であり、1981年のスタジオ録音とは思えないような鮮度を誇っているのも素晴らしい。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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CDが出始めてまだそれほど年月が経ってい...

投稿日:2012/01/14 (土)

CDが出始めてまだそれほど年月が経っていないころに抜粋盤を購入して楽しんだ演奏。ショルティのモーツァルトはデ・ラローチャが弾いたK.595とK.503の協奏曲で聴いてすっかり感心していた。あそこではゆったりしっとりした音楽があった。しかし「フィガロ」ではそうでない。  まず序曲が「狂おしい1日」の暗示にふさわしい速さ。そのあとの音楽の運びも「愛らし気なモーツァルト」とは無縁。「これ」はこれでいいのだ,と言っているみたい。つまりショルティの,ではなく「フィガロ」の速さということなのだろう。これが唯一絶対ではないのはもちろんだが納得はできる。   重唱の緊密さは特筆もの。ただ,スザンナとマルツェリーナのさや当ての場面だけがそれにもかかわらず緊迫感が不足気味で惜しい。それとアレンの伯爵はちと上品すぎないか?........と気になる点はあるものの久しぶりにオペラの全曲録音を通しで聴く楽しみを味わわせてもらった。  ところでこのCDを買ったもう一つ大切な理由は仕様への興味にあった。「ブック仕様装丁」に惹かれたのである。LPの時代,組ものの中には美術工芸品の趣きを伴ったものが少なからずあった。肝心なのは録音されている中身だと承知しつつも,中身がよければなおさらのこと「もの」として所有する喜びもそこには生まれた。近年そういうCDがいくつも見られるようになったがこの「フィガロ」もそういう興味・期待に十分応えてくれた。

たーさん さん | 神奈川県 | 不明

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モーツァルト(1756-1791)

1756年:ザルツブルクで誕生。 1761年:最初の作曲(『アンダンテ ハ長調 K.1a』)。 1782年:オペラ『後宮からの誘拐』初演。 1783年:大ミサ曲ハ短調 K.427(417a)を上演。 1785年:弦楽四重奏曲集(ハイドン・セット)をハイドンに献呈。 1786年:オペラ『フィガロの結婚 K.492』初演。 1787年:父レオポル

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