LPレコード 輸入盤

【ピアノ四重奏曲】展覧会の絵(ムソルグスキー)、音の絵(ラフマニノフ):フォーレ四重奏団 (2枚組アナログレコード/Berlin Classics)

ムソルグスキー(1839-1881)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
BC0301119
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Germany
フォーマット
:
LPレコード
その他
:
輸入盤

商品説明


フォーレ四重奏団/『展覧会の絵』『音の絵』)

チェリビダッケのように音楽の絶対的なエッセンスを提示したいと語るフォーレ四重奏団は、オリジナルのピアノ四重奏曲だけでなく、編曲作品にも熱心に取り組んで成果を上げています。
 2016年の来日公演でも評判となったフォーレ四重奏団の『展覧会の絵』。今回ベルリン・クラシックスから登場するのは、その来日公演直後、ドイツに戻って間もない彼らが、ベルリンのテルデックス・スタジオでレコーディングしたものです。
 音響条件の良いホールで、ベテランのトビアス・レーマンがマイク・ポジションを吟味しつくした優秀録音により、ピアノ四重奏による『展覧会の絵』の魅力を隅々まで楽しむことが可能な仕上がりです。
 組み合わせは、同じくピアノ四重奏によるラフマニノフの『音の絵』で、こちらも2018年の来日公演で『展覧会の絵』と共に、披露される予定(一部)となっています。


【収録作品】

音の絵
アメリカで活躍していた亡命ロシア人指揮者のクーセヴィツキーは、当時アメリカに長く滞在していたレスピーギ[1879-1936]に委嘱した『教会のステンドグラス』の1927年の成功で、次の企画を考え、同じ亡命ロシア人のラフマニノフが書いたピアノ練習曲集『音の絵』に管弦楽編曲の可能性を見出し、1929年にレスピーギに編曲させることを考案、ラフマニノフも承諾し、曲集から5曲を選び出し、それぞれにタイトルをつけてレスピーギに渡し、「5つの絵画的練習曲『音の絵』P.160」が完成します。
 ディルク・モメルツは、このオーケストラ・ヴァージョンをもとに、ピアノ四重奏への編曲をおこなっていますが、曲順は下記のように変更、「緩→急→緩→急→急」から「急→緩→急→緩→急」とすることで、聴きやすい進行となっています。

「海とかもめ」Op.39-2 [7:48]
「市場の情景」Op.33-4 [1:52]
「葬送行進曲」Op.39-7 [8:17]
「赤頭巾ちゃんと狼」Op.39-6 [2:58]
「行進曲」Op.39-9 [3:32]
      ↓
「赤頭巾ちゃんと狼」Op.39-6 [2:58]
「海とかもめ」Op.39-2 [7:48]
「市場の情景」Op.33-6 [1:52]
「葬送行進曲」Op.39-7 [8:17]
「行進曲」Op.39-9 [3:32]


展覧会の絵
数多くの編曲ヴァージョンが存在する『展覧会の絵』ですが、ピアノ四重奏版は珍しく、おそらくこれが初めて。この編曲は、ピアノ担当のディルク・モメルツ(モンマーツ)が、恩師グリゴリー・グルズマンによるピアノ三重奏用編曲をもとに完成したものです。
 原編曲は、ソ連出身のグリゴリー・グルズマン、ミハイル・ベズヴェルフニー、ミーシャ・カッツの3人から成るピアノ三重奏団「ショスタコーヴィチ・トリオ」のために、グルズマン自身が編曲したもので、1994年に発売したCDに収録されていたほか、ツアーでも演奏されていました。
 ディルク・モメルツは、そのピアノ三重奏版をもとに、大胆なアイデアも導入しながら大幅に拡大、特殊奏法なども交えて、ピアノ四重奏の能力をフルに発揮する高密度なヴァージョンを完成しています。
 なお、ベースになっているのはラヴェル編曲版ですが、1922年にクーセヴィツキーがラヴェルに編曲依頼をした際、まだ原典版のピアノ譜は出版されておらず、ラヴェルが自筆譜を探しながらもリムスキー=コルサコフ版ピアノ譜しか見ることができなかった事情を斟酌してか、「ビドロ」冒頭の弱音は元のフォルテに戻し、「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」結尾の音程変更も元に戻しています。


【原編曲との比較】

恩師らの演奏するショスタコーヴィチ・トリオの録音と、フォーレ四重奏団の録音を比較すると、ディルク・モメルツのコンセプトも明確になると思われるので、以下に演奏時間を載せておきます。

フォーレ四重奏団(左) vs ショスタコーヴィチ・トリオ(右)
%値=ショスタコーヴィチ・トリオを100とした場合のフォーレ四重奏団の数値

「プロムナード」[1:32]vs[1:44] 88.5%
「グノームス」[2:36]vs[2:41] 96.9%
「プロムナード」[1:06]vs[1:03] 104.8%
「古城」[4:27]vs[3:50] 116.1%
「プロムナード」[0:34]vs[0:37] 91.9%
「チュイルリーの庭」[1:08]vs[1:09] 98.6%
「ビドロ」[3:00]vs[2:30] 120.0%
「プロムナード」[0:58]vs[1:03] 92.1%
「卵のからをつけたひなの踊り」[1:12]vs[1:18] 92.3%
「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」[2:21]vs[2:14] 105.2%
「リモージュの市場」[1:11]vs[1:12] 98.6%
「カタコンブ」[2:19]vs[1:42] 136.3%
「死せる言葉による死者への呼びかけ」[2:19]vs[1:26] 161.6%
「バーバ・ヤーガの小屋」[3:24]vs[3:23] 100.5%
「キエフの大門」[5:03]vs[4:44] 106.7%
合計:[33:10]vs[30:36] 108.4%

一見してわかるのは、「古城」(116.1%)、「ビドロ」(120.0%)、「カタコンブ」(136.3%)、「死せる言葉による死者への呼びかけ」(161.6%)、の4作品のテンポが際立って遅くなっている点。
 演奏時間比116%の「古城」では、弦のハーモニーが印象的なアレンジに変更されており、特に終盤での違いが顕著となっています。


 「古城」よりもさらに遅い120%の「ビドロ」では、時間差以上に違いが大きくなっています。「ビドロ」という言葉には「牛車」と「苦しみ」という2つの意味がありますが、リムスキー=コルサコフは「牛車」と解釈し、ピアノ譜を弱音開始の遠近感仕様に改変、その楽譜をもとに編曲したラヴェルは、弱音開始に加えてさらにチューバで牛を描いてしまうという編曲をおこなってしまいます。ラヴェル版が元ネタのショスタコーヴィチ・トリオの演奏でも、ピアノが牛車を模したような具合になっていましたが、ディルク・モメルツは、ピアノを原典版的な演奏に戻し、「ビドロ=苦しみ」という本来の意味合いに即した編曲としています。ガルトマンの遺した絵には、牛車を描いたものは無いということですが、ロシア帝国の圧政に苦しむポーランドの人々を題材にした絵は何枚か存在し、中にはギロチンが描きこまれたものもあり、ムソルグスキーのインスピレーション元も「牛車」ではなく「人々の苦しみ」と考えると原典版の曲調も納得できます。


 連続して演奏される136.3%の「カタコンブ」と161.6%「死せる言葉による死者への呼びかけ」はさらに遅くなっており、ディルク・モメルツの編曲ポリシーが、曲の暗部の抉り出しにあることは明確です。
 また、速めの曲の大半で演奏時間が短くなっており、上記4曲の深沈とした音楽と対を成す軽快さや、ダイナミズムを伴ったスピード感などにより、音楽の明暗のコントラストを強化、ダイナミクスの拡大も図られており、いまやフォーレ四重奏団の看板レパートリーともなっている『展覧会の絵』の面白さを際立たせています。



【収録情報】

●ラフマニノフ:練習曲集『音の絵』から[24:27]
編曲:ディルク・モメルツ
「赤頭巾ちゃんと狼」Op.39-6 [2:58]
「海とかもめ」Op.39-2 [7:48]
「市場の情景」Op.33-6 [1:52]
「葬送行進曲」Op.39-7 [8:17]
「行進曲」Op.39-9 [3:32]

フォーレ四重奏団
 エリカ・ゲルトゼッツァー(ヴァイオリン)
 サーシャ・フレンブリング(ヴィオラ)
 コンスタンティン・ハイドリッヒ(チェロ)
 ディルク・モメルツ(ピアノ:ヤマハCX)

録音時期:2018年3月7&8日
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
プロデューサー&エンジニア:トビアス・レーマン

●ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』[33:10]
編曲:グリゴリー・グルズマン、ディルク・モメルツ
「プロムナード」[1:32]
「グノームス」[2:36]
「プロムナード」[1:06]
「古城」[4:27]
「プロムナード」[0:34]
「チュイルリーの庭」[1:08]
「ビドロ」[3:00]
「プロムナード」[0:58]
「卵のからをつけたひなの踊り」[1:12]
「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミュイレ」[2:21]
「リモージュの市場」[1:11]
「カタコンブ」[2:19]
「死せる言葉による死者への呼びかけ」[2:19]
「バーバ・ヤーガの小屋」[3:24]
「キエフの大門」[5:03]

フォーレ四重奏団
 エリカ・ゲルトゼッツァー(ヴァイオリン)
 サーシャ・フレンブリング(ヴィオラ)
 コンスタンティン・ハイドリッヒ(チェロ)
 ディルク・モメルツ(ピアノ:ベーゼンドルファー・インペリアル)

録音時期:2016年12月12&13日
録音場所:ベルリン、テルデックス・スタジオ
プロデューサー&エンジニア:トビアス・レーマン


【フォーレ四重奏団】
1995年、ドイツ中部のカールスルーエで結成。メンバーはカールスルーエ音楽大学の4人。以後23年間、メンバー・チェンジ無しで国際的な活動を継続中。フォーレ四重奏団というグループ名は、「室内楽こそが音楽の真の形式で、個性のもっとも真正な表現」と語ったフォーレの生誕150年の記念の年に結成されたことにちなむものです。
 フォーレ四重奏団は、アルバン・ベルク四重奏団に4年間に渡って教えを受けて実力を伸ばし、結成2年後の1997年には、全ドイツ音楽院コンクールで優勝、その後も各地のコンクールで優勝して名を高め、やがて活動の場を世界的なものとしていきます。


【略年表】
1974年
●ディルク・モメルツ誕生。
●サシャ(アレクサンダー)・フレンブリング誕生。

1975年
●エリカ・ゲルトゼッツァー誕生。
●コンスタンティン・ハイドリッヒ誕生。

1995年
●カールスルーエ音楽大学の4人によってフォーレ四重奏団結成。

1997年
●全ドイツ音楽院コンクール優勝。

1998年
●ヴィラ・ムジカ財団賞受賞

1999年
●ドイツ音楽コンクール優勝

2000年
●プレミオ・トリオ・ディ・トリエステ国際室内楽コンクール優勝

2000年
●プレミオ・ヴィットリオ・グイ賞フィレンツェ国際コンクール優勝

2001年
●メクレンブルク・フォアポンメルン音楽祭でアンサンブル賞受賞

2003年
●国際パークハウス賞第1位
スーク:ピアノ四重奏曲、フォーレ:ピアノ四重奏曲第2番(Ars Musici)リリース。

2004年
●カールスルーエ音楽大学はフォレカルテットを「Ensemble in Residence」

2005年
シューマン:ピアノ四重奏曲、キルヒナー:ピアノ四重奏曲(Ars Musici)リリース。

2006年
モーツァルト:ピアノ四重奏曲集(DG)リリース。


2007年
●初来日

2008年
●エコー・クラシック/室内楽録音部門受賞

2008年
●ドイツ・レコード批評家賞受賞
●ラインランド・プファルツ芸術賞受賞
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番、第3番(DG)リリース。

2009年
●来日ツアー開催。
ポップ・ソングス(DG)リリース。

2010年
●エコー・クラシック/クロスオーバー部門受賞
●メンデルスゾーン:ピアノ四重奏曲第2番、第3番(DG)リリース。

2012年
●シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州ブラームス賞受賞
●デュースブルク市音楽賞受賞

2013年
スヴェン・ヘルビッヒ:ポケット・シンフォニーズ(DG)リリース。

2014年
R.シュトラウス、マーラー:ピアノ四重奏曲と歌曲(SONY)リリース。
●来日ツアー開催。

2016年
●細川俊夫、フォーレ四重奏団のために『レテ(忘却)の水』作曲。
●来日ツアー開催。

2018年
●ムソルグスキー:展覧会の絵、ラフマニノフ:音の絵(Berlin Classics)リリース。

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