ミンガルドが誘うロマンの世界。
室内楽編成によるマーラーの歌曲集
ピオヴァーノ率いるムジチ・アウレイによる
マーラーの四重奏曲と、絶品のブゾーニの子守歌
マーラーとレーガーの濃密な世界を、ミンガルドの豊かな歌声と、しばしば来日もあるチェリスト、ピオヴァーノ率いるムジチ・アウレイの演奏で堪能する1枚。
1876年頃、マーラーが16歳の頃に作曲されたとされるピアノ四重奏曲は、1875年に弟エルンストが13歳で亡くなったことへの悲しみが込められているとされる作品。エルンストは、グスタフが特に可愛がっていた弟だっただけに、その悲しみは想像を絶するものがあります。ピアノ四重奏という伝統的な編成をとっていながら、苦しみと情熱に彩られた、すでにマーラーの個性に満ちた秀作です。
新ウィーン楽派の面々が1918年に設立した「私的演奏協会」(3年ほどしか存続しませんでした)は、当時の作品をより広い聴衆に聴いてもらうために、様々な作品を小編成に編み直した活動でも知られています。『さすらう若者の歌』は、マーラーを崇拝していたシェーンベルクによって編曲されたもの。原曲のもつ抒情やドラマティックな面がより際立つような、凝縮感のある編曲となっています。『亡き子をしのぶ歌』は、ライナー・リーンの編曲によるもの。未完に終わったシェーンベルクによる『大地の歌』の編曲を完成させたのもライナー・リーンです。『亡き子をしのぶ歌』の詩を書いたリュッケルトが失った息子もエルンストといい、この詩に曲を書く時のマーラーの深層心理には、自分の弟エルンストが亡くなった時の父への共感が強くあったとされています。
1909年に作曲されたブゾーニの子守歌は、亡き母の思い出に捧げられた作品。ブゾーニは始めこの作品をピアノのために書き、その後管弦楽作品に仕立てました。その管弦楽版からの編曲です。沈静な中での夢見るような旋律が何とも言えない物悲しさを醸し出しています。この作品の編曲を手掛けたのはエルヴィン・シュタイン。「私的演奏協会」の主要メンバーであり、シェーンベルクの助手も務めた人物でした。このブゾーニ作品の初演指揮者はほかならぬマーラーであり、この演奏会がマーラーにとって最後の演奏会となりました。
歴史的にもからみあうこれらの作品を、ピオヴァーノ率いるムジチ・アウレイのアンサンブルと、ミンガルドの歌唱で堪能できる貴重な一枚です。(キングインターナショナル)
【収録情報】
1. マーラー:亡き子をしのぶ歌(ライナー・リーンによる小オーケストラ伴奏版)
2. マーラー:ピアノ四重奏曲断章イ短調
3. マーラー:さすらう若者の歌(シェーンベルクによる小オーケストラ伴奏版)
4. ブゾーニ:悲歌的子守歌〜母の棺に寄せる男の子守歌(エルヴィン・シュタインによる小オーケストラ編)
サラ・ミンガルド(コントラルト)
グラツィア・ライモンディ(ヴァイオリン)
シルヴィオ・ディ・ロッコ(ヴィオラ)
オラフ・ラネリ(ピアノ)
ムジチ・アウレイ
ルイジ・ピオヴァーノ(指揮、チェロ:2)
録音時期:2011年7月
録音場所:テアトロ・フェデーレ・フェナリーリ・ディ・ランチャーノ
録音方式:デジタル