贈与論 ちくま学芸文庫

マルセル・モース

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480091994
ISBN 10 : 4480091998
フォーマット
出版社
発行年月
2009年02月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,305p

商品説明

「贈与と交換こそが根源的人類社会を創出した」。人類学、宗教学、経済学ほか諸学に多大の影響を与えた不朽の名著、待望の新訳決定版。

内容詳細

ポトラッチやクラなど伝統社会にみられる慣習、また古代ローマ、古代ヒンドゥー、ゲルマンの法や宗教にかつて存在した慣行を精緻に考察し、贈与が単なる経済原則を超えた別種の原理を内在させていることを示した、贈与交換の先駆的研究。贈与交換のシステムが、法、道徳、宗教、経済、身体的・生理学的現象、象徴表現の諸領域に還元不可能な「全体的社会的事象」であるという画期的な概念は、レヴィ=ストロース、バタイユ等のちの多くの思想家に計り知れない影響とインスピレーションを与えた。不朽の名著、待望の新訳決定版。人類社会のアルケーヘ。

目次 : 序論 贈与、とりわけ贈り物にお返しをする義務/ 第1章 交換される贈与と返礼の義務(ポリネシア)(全体的給付、父方の財産と母方の財産(サモア)/ 贈られた物の霊(マオリ)/ その他の主題:贈る義務と受領する義務/ 追記:人に対する贈り物と神に対する贈り物)/ 第2章 贈与制度の発展―鷹揚さ、名誉、貨幣(気前よさの規則、アンダマン諸島(注記)/ 贈与交換の原則、理由、強度(メラネシア)/ アメリカ北西部)/ 第3章 古代の法と経済におけるこうした原則の残存(人に関する法と物に関する法(最古のローマ法)/ 古代ヒンドゥー法/ ゲルマン法(抵当と贈与))/ 第4章 結論(道徳上の結論/ 経済社会学上および政治経済学上の結論/ 一般社会学上および道徳社会学上の結論)

【著者紹介】
マルセル・モース : 1872‐1950。フランス・ロレーヌー出身。社会学者、民族学者。ボルドー大学で叔父のデュルケムに哲学を学び、その後高等学術研究院、コレージュ・ド・フランスで教鞭を執る。関心領域は極めて広範で、社会、宗教はもとより経済、呪術、身体論にまで及んだ。「社会学年報」の編集にも携わり、実証的かつ科学的な研究を特徴とするフランス学派の礎を築いた

吉田禎吾 : 東京大学名誉教授。文化人類学専攻

江川純一 : 宇都宮大学非常勤講師。宗教学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ころこ さん

    贈与からイメージされるのは優しさかと思いますが、本書を読んでイメージされたのは暴力でした。文中によく契約という言葉が登場しますが、贈与に巻き込まれると、半ば返礼を強制され、その渦の中で否応なく生きていかなければなりません。そこに渦ができて抜け出せなくなるのは、モノの交換がコミュニケーションであり、精神の交換と同視されるからです。贈与は一般的等価物の交換としての資本主義の問題を解決するヒントになり得ます。他方でユートピア的なイメージとはかけ離れた、前近代的な共同体の押しつけがましさに満ちています。

  • zirou1984 さん

    ドイツ語におけるGiftは「毒」の意味も併せ持っているというのは象徴的だ。そう、資本主義が商品の売買によって他者との関係を築くのに対して、それ以前の未開社会は相互の贈与によって他者との関係を築き、それは政治や法律の代替として機能していた。だからこそ贈与には受領や返礼の義務が付随するのであり、それは又物品だけでなく感情の交換をも担う行為でもあった。「貰ったのと同じだけ施しなさい。そうすれば万事上手くいく」これは決して偽善から生じたものではなく、人類の歴史が育んだ叡智の結晶であったのだ。知的興奮が止まらない。

  • まると さん

    贈られたら、気前よく「利息」を付けて贈り返さなければならない。「未開」社会はどこもそうだった。それこそが均衡のとれた人間関係を保つルールであり、常識だった。贈り物文化が残る日本、金持ちは寄付や喜捨をせよとする欧米やイスラム思想にも通じていると言われれば確かにそうかも、と思う。資本主義のモノやカネの束縛から逃れ、それに取って代わる社会を考える上で大きなヒントを与えてくれる。末尾近く「人間が計算機によって複雑化された一つの機械になってしまってから、まだそれほどの時間が経過していない」という言葉が印象的でした。

  • nekozuki さん

    資本主義経済において、贈与は対価を求めない片務的な行為だがモースが諸地域の分析で示したように過去には贈与であっても長期的な目線で返礼の義務があったよう。贈与を受けたものを別の形で同等以上にして返さなければ当人の評価が悪くなったり災厄が訪れると考えられる文化は、現在の貨幣中心で各人が対価を貯め込む文化とは根本的に思想が異なるらしい。

  • りー さん

    物理的な交換や贈与に呪術的な縛りがあるなんてのは現代においても十分に機能している。物や感情や恩は交換が十分に可能であって、現代の贈与にそれを感じ取れないのだとしたら、それは単に「買い物が下手」なだけじゃなかろうか。金で人の心が買えないって言う奴も、金がなくちゃ生きていけないなんて奴も、この贈与論でも読んで買い物上手になるが良いのだ。

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