息のブランコ

ヘルタ・ミュラー

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784384043501
ISBN 10 : 4384043503
フォーマット
出版社
発行年月
2011年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
20cm,385p

内容詳細

もう誰かに所有されるなんてまっぴらごめんだ。ソ連に強制連行されたルーマニア人の主人公が、5年の歳月を過ごした収容所の索漠とした世界。ノーベル文学賞受賞作家が、聞き取り調査をもとに書き上げた渾身の小説。

【著者紹介】
ヘルタ・ミュラー : 1953年ルーマニア・ニツキードルフ生まれ。ドイツ系少数民族の出。母語はドイツ語。1987年にドイツに出国、現在はベルリン在住。クライスト賞(1994)、ヴュルト=ヨーロッパ文学賞(2006)など多数の文学賞のほか、2009年にはノーベル文学賞を受賞

山本浩司(司法書士) : 1965年大阪生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。現代ドイツ文学専攻。広島大学総合科学部講師を経て、早稲田大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • うぉ さん

    不思議な一冊だった。扱っているテーマは戦争と強制収容所なので間違いなく哀しいし、ずっしりくるはずなのだが、読後感は妙にふわふわとしている。解説を読んでその独特の感覚に納得。作者の感性が素晴らしいので、他の作品も試したい。

  • きゅー さん

    1945年、ルーマニア在住のドイツ人がソ連の強制収容所に移送された。17歳のぼくもその移送者に含まれていた。この物語のやるせないところは、語り手が故郷に戻ってからだ。彼は収容所にいた5年間で魂を傷付けられてしまっており、家族に馴染むことが出来ない。その傷は、彼が収容所にいた間に弟が生まれたという事実も大きく影響している。家族の間にあっても亡霊のような彼は、やがて彼らの許を去る。「ひもじさ天使」という造語が何度も登場する。各人が取り憑かれている飢えの象徴のことだが、そのひもじさ天使がこの物語の主役でもある。

  • 新田新一 さん

    2009年にノーベル文学賞を受賞したルーマニア系ドイツ人の作家、ヘルター・ミュラーの長編。この本を読むまで、ルーマニア人がソ連の強制収容所で、働かされたことを知りませんでした。全く希望を持てない状態で生き続ける人々の姿が、断章を積み重ねる形で描かれています。散文というより散文詩の集まりのような内容です。断章にすることで、単調な描写になりがちな収容所の様子が、詩的なイメージを帯びる箇所が、心に残りました。飢えの苦しみの描写は強烈です。共産主義の悪しき一面を、ひるむことなく描き出した傑作。

  • ハルト さん

    ルーマニアにおけるドイツ人のソ連への強制連行という負の歴史。断章という形で綴られていく、主人公の収容所での単調で過酷な日々。飢えという「ひもじさ天使」に支配され、「ハーゾーヴェー(ああ悲しくてたまらない)」と嘆きながら、祖母の「おまえは必ず帰ってくる」という言葉を自分に言い聞かせ希望にし、ただひたすらに生きる。淡々とした収容所生活の、果ての見えない恐ろしさ。生き延び帰郷しても拭うことのできない喪失感。死ぬまで彼を捕らえ続けた収容所の影。重苦しく息苦しい、生きることへの閉塞感が伝わってくる作品でした。

  • →0!P! さん

    ルーマニア在住のドイツ人たちが、第二次世界大戦のまさに終盤というところで、ソ連によって収容所へと移送される。酷い仕打ちをする看守、仲間の悲惨な死、支配者への怒り、怨恨、厭世といった、いかにも収容所体験記で描かれそうな成分が欠けている。恬淡として主人公が語るのは、一貫したひもじさに囚われて人間性を失った収容者たちの姿と、そこに「悲惨さ」がない悲惨さという逆説である。パンに対する底知れない執着とそれを得るために振るったシャベルによって、収容所の外の世界は生きづらいものに塗り替えられてしまったのだ。

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ヘルタ・ミュラー

1953年、ルーマニア・ニッキードルフ生まれのドイツ語作家。1987年にベルリンに移住。2009年にノーベル文学賞を受賞するほか、『心獣』によってドイツ国内で1994年にクライスト賞、ドイツ国外で1998年にIMPAC国際ダブリン文学賞を受賞するなど、多数の文学賞を受賞し続けている

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