CD

交響曲第5番 マーク&東京都交響楽団(1986)

ブルックナー (1824-1896)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
TBRCD0012
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

東武レコーディングズ・都響音源第2弾!
これは世紀の名演か? 希代の珍演か?
ペーター・マークのブルックナー5番!


鬼才マークがブルックナーを取り上げることが頻繁でなかったことは間違いないようです。それなのに、マークは東京都交響楽団と1982年10月19日と1986年4月10日の二回、このブルックナー第5番を演奏しているのです。演奏は一聴して異端のブルックナーでこんな演奏を繰り広げた人はかつていません。第1楽章実に17分46秒、これは話題の最速演奏、ネーメ・ヤルヴィ盤を超えます。重厚長大路線に一切目もくれず、ひたすらスイスイ、楽々と歩みを進めます。この辺り、モーツァルトやシューマンにおける清清しい演奏スタイルをここでも貫いています。ところがマークが恐ろしいのは時としてシューリヒト張りのきついアゴーギグも顔を出すところで気が抜けません。それに、いくつか明らかな楽器追加もあるようです。どの楽章にも共通しているのは絶叫型詠嘆がないところと申せましょうか。
 晩年のマークは日本以外では、あまり優秀なオーケストラに客演しなかった様子です。ここでは都響の妙技を全面的に信頼した上で、こういう面白い演奏を聴かせてくれたのです。東京文化会館のアコースティックを忠実に伝える優秀なデジタル録音。解説(日英)、サウンド・マスタリング:WEITBLICK(東武)

【収録情報】
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調 WAB.105 [66:16]
 第1楽章 アダージョ - アレグロ [17:46]
 第2楽章 アダージョ [13:50]
 第3楽章 スケルツォ モルト・ヴィヴァーチェ [12:30]
 第4楽章 アダージョ - アレグロ・モデラート [22:10]

 東京都交響楽団
 ペーター・マーク(指揮)

 録音時期:1986年4月10日
 録音場所:東京文化会館
 録音方式:デジタル(ライヴ)
 東京都交響楽団第233回定期演奏会


【ペーター・マーク・プロフィール】
神学者の息子
1919年5月10日スイスのザンクト・ガレンに誕生し、幼少からピアノ演奏などに楽才を発揮。父親のオットー・マークは有名な神学者で音楽家でもあり、その影響からか、マークはバーゼルとチューリッヒ、ジュネーヴの大学で、ヤスパースほかに哲学と神学を学び、さらにパリではコルトーにピアノを師事しています。

指揮者活動
1943年、ビール=ソロトゥルン劇場の合唱指揮者としてキャリアをスタート。ほどなく第2、第1指揮者へと昇格してゆきます。1946年にはパリを訪れ、フランス・オペラとイタリア・オペラについて学び、また、同じ頃、スイス・ロマンド管弦楽団の演奏会をいくつか指揮し、アンセルメに指揮を学んでもいます。
 1952年、フルトヴェングラーの推薦によって、デュッセルドルフ歌劇場の第1指揮者に就任し、1954年までの在任中に高い評価を獲得。その後、1955年のシーズンからは、首都ボン市の音楽監督に就任し、同市の歌劇場やオーケストラを1959年まで統率することに。中でも1956年、モーツァルト生誕200年祭行事としてボン市立歌劇場でおこなわれたモーツァルトの全オペラ上演は話題になり、一躍モーツァルトのスペシャリストとして知られることとなります。
 さらに、シンシナティ交響楽団を指揮してアメリカ・デビューも果たし、同時期にコヴェント・ガーデン王立歌劇場やシカゴの歌劇場にも登場して、活動の舞台をいっそう拡大。

宗教家生活へ
モーツァルトのいくつかの作品で1950年代初頭に開始された英デッカへのレコーディングも軌道に乗り、指揮者としてのキャリアもより華々しいものとなって行きますが、忙しさゆえの精神的疲弊からか、マークのもうひとつの面を表す宗教世界への渇望が沸き起こります。
 まずマークはギリシャのアトス山にある修道院に入り、さらに、香港の仏教寺院でしばらくのあいだ仏教徒として研鑚を積むという生活を送り、僧侶から音楽の道に戻るよう諭されるまでその地に留まります。

音楽家生活への復帰
1964年、ウィーン・フォルクスオーパーの首席指揮者に就任し、精力的な演奏活動を展開。得意のモーツァルトを中心に、大胆な演出やレパートリーで注目を集めます。
 1968年にはパルマでの“椿姫”上演で絶賛され、トスカニーニ・メダルを授与。同年、ニューヨークでコンサート・デビューし、1972年には“ドン・ジョヴァンニ”でメトロポリタン歌劇場デビューを果たします。
 先年の好評を受け、1970年、パルマの歌劇場の音楽監督に就任し、1974年からはトリノのテアトロ・レッジョの音楽監督、1984年から1991年まではスイスのベル市の音楽監督を務め同地の交響楽団とオペラを統率します。
 その間、1983年には北イタリアのヴェネト州にある州立室内オーケストラ、パドヴァ・デル・ヴェネト管弦楽団の音楽監督に就任。数多くのレコーディングをこなします。また、1984年にはスペイン国立管弦楽団の首席指揮者も歴任。1989年にはイタリア北部のトレヴィゾに若手の指揮者や作曲家を養成する学校を開設、2001年にヴェローナで死去するまでイタリア楽壇に大きく貢献します。(HMV)

内容詳細

マークが都響を振った定期演奏家のライヴ録音。マークにとっては珍しいブルックナーの演奏だ。重厚長大な演奏とは対照的な快速軽量型ブルックナーで、ブルックナーへの固定観念が崩れ去るような演奏が展開する。(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

  • 01. Bruckner: Symphony No. 5: I. Introduction. Adagio - Allegro [17:46]
  • 02. II. Adagio. Sehr langsam [13:50]
  • 03. III. Scherzo. Molto vivace (Schnell) - Trio im gleichen Tempo [12:30]
  • 04. IV. Finale. Adagio - Allegro moderato [22:10]

総合評価

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5.0

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以前のレビュアーさんたちの書かれている通...

投稿日:2018/02/01 (木)

以前のレビュアーさんたちの書かれている通りの演奏で、テンポや管弦バランス等が独特でありながら、同傾向に分類される(であろう)シューリヒトやレーグナーよりも自然な感触があります。ただ、さすがにライブ一発録りの限界で、細かい箇所にアラがみられます。無論、1980年代の都響としては大健闘に違いないのですが、他のセッション録音や編集済みライブを聴き慣れていると、「惜しい」と思ってしまう箇所があるのは確か。特に終楽章終結の音響的カタルシスが薄いのが個人的には厳しかったです。とはいえ、それでも星5つを献上したくなる魅力はあり(特に第2楽章)、リアルタイムでマークを聴いていた方、この曲のファンの方には十分にお薦めできます。音質も良好で、「失敗したときのNHK録音」のようなボヤケ感とは無縁なのは嬉しいところです。

SeaCrow さん | 東京都 | 不明

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最速ということだが、あまり速く感じない。...

投稿日:2012/01/08 (日)

最速ということだが、あまり速く感じない。コーダだって、レーグナーなんかだとさっさと片付けちゃうんだけど、これはいたって普通。最後で金管がややバテてるけど、なんとか持ちこたえている。この曲は、朝比奈のようなインテンポだと構築感が表にでて、それはそれで立派なのでしょうけど、こういう演奏も良い。シューリヒトほど緩急が極端じゃないと思う。私見では、この曲は、中間の二楽章は、わりと速いテンポでやったほうが、音楽の見通しが良くなって良い結果が得られると思うし、スケルツォなどもある程度テンポを動かした方が単調さを防げると思う。80年代半ばの都響だけれど、こういうレパートリーだと、響き・量感ともに当時のN響を凌駕しているのではないか。マークの貴重な記録で、広く海外の方にも聴いていただきたい。

七海耀 さん | 埼玉県 | 不明

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この演奏、レビューのどなたもみな驚いてい...

投稿日:2011/06/08 (水)

この演奏、レビューのどなたもみな驚いていらっしゃいますが、もちろん、私も驚きました。そして大いに感服しました。マークさんといえば、ま、モーツァルトやシューベルトなど、いかにも典雅・温和なレパートリーのイメージですが、このブルックナーの(よりによって)第5交響曲でプログラミングさせた都響の関係者は実に慧眼!タイミング的には全曲疾風怒濤的数値ですが、聴いてみると、速いところがべらぼうに速いということであって、トータルとしては違和感はありません。テンポや強弱でコントラストを大胆につけて、緊張感を保って見事なクライマックスで完結します。ま、改訂版的な作為はせずに、今あるスコアでもたれることなく演奏しようとすればこういう感じになるのかな(その意味では改訂版と抱いている前提は同じなのかも…)。白眉は第4楽章。曲者的表情がそこかしこに出てきて実に面白い。都響は音色にやや美感を欠き、もう少し練り上げられましょうけれど、そんな傷でもありますまい。むしろこのディスクの登場は実に有意義で、満足いたすものです。録音も良好で文句なし。みなさま、どうぞ、お手に取ってみてください。

ほんず内閣総理大臣 さん | 北海道 | 不明

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人物・団体紹介

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ブルックナー (1824-1896)

1824年:オーストリアのアンスフェルデンでヨーゼフ・アントン・ブルックナー誕生。 1845年:聖フローリアン修道院の助教師に就任。 1856年:リンツ聖堂及び教区教会のオルガン奏者に就任。 1866年:交響曲第1番完成。 1868年:音楽大学の教授に就任。 1869年:交響曲第0番完成。 1872年:交響曲第2番完成。 1873年

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