CD 輸入盤

ベートーヴェン:『皇帝』(クリップス指揮、1960)バッハ:ピアノ協奏曲第1番(ミトロプーロス指揮、1958)、他 グールド

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
88697808092
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

グレン・グールド/シークレット・ライヴ・テープス
ベートーヴェン、バッハ、シェーンベルク:ピアノ協奏曲集


グールドは1964年、31歳のときにコンサートをおこなわないことを宣言し、以後、レコーディングに専念することとなりますが、これは演奏の完全主義を徹底追求したからとも、他の演奏家との軋轢に耐えられなかったからとも言われています。
 グールドの名が世界的なものになったのは、1956年、アメリカでのゴルトベルク変奏曲の大ヒットがきっかけで、翌1957年には、鉄のカーテンを超えてソ連で公演、さらにヨーロッパもまわってカラヤンとも共演するなど、コンサートの世界でも大きな成功を収めて名声を獲得。結果、グールドのもとには数多くの出演依頼が舞い込み、多忙を極める中、神経をすり減らしコンサートからの引退を決めたのかもしれません。
 今回登場するアルバムには、そんなグールドがまだ疲弊していなかった(?)1958年から1960年にかけてのライヴ録音が収められています。
 ヨーゼフ・クリップスとの「まともな」テンポでの『皇帝』(ユニークなストコフスキーとの共演盤はこちら)、ミトロプーロスとのバッハにシェーンベルクというプログラムは、まだ20代後半だったグールドの実演における率直なアプローチを楽しめる格好の内容となっており、古いモノラルのライヴ録音ながら、ファンには見逃せない聴きものとなっています。(HMV)

【収録情報】
・J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 BWV.1052
 グレン・グールド(ピアノ)
 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
 ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)

 録音時期:1958年8月10日
 録音場所:ザルツブルク音楽祭
 録音方式:モノラル(ライヴ)

・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 op.73『皇帝』
 グレン・グールド(ピアノ)
 バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団
 ヨーゼフ・クリップス(指揮)

 録音時期:1960年11月8日
 録音場所:バッファロー
 録音方式:モノラル(ライヴ)

・シェーンベルク:ピアノ協奏曲 op.42
 グレン・グールド(ピアノ)
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 ディミトリ・ミトロプーロス(指揮)

 録音時期:1958年3月16日
 録音場所:ニューヨーク
 録音方式:モノラル(ライヴ)

【グールド・プロフィール】
グレン・グールド(Glenn Herbert Gould)は、1932年9月25日、カナダのトロント生まれ。プロテスタントの家系である両親はゴールド(Gold)という姓でしたが、この苗字がユダヤ人に多く、当時高まっていた反ユダヤ主義に巻き込まれることを恐れ、息子の生後まもなくグールドと改姓しています。
 母親からピアノのレッスンを受けたあと、1942年からトロント音楽院でアルベルト・ゲレーロに10年間師事。1945年にまずオルガン奏者としてデビューします。
 ピアニストとしてのデビューは1946年にトロント交響楽団との共演で実現、9年後の1955年にバッハ:ゴルトベルク変奏曲をレコーディングします。このあまりにも有名なレコードでの斬新な演奏で一躍脚光を浴びたグールドは、以後はニューヨークに拠点を移して、ニューヨーク・フィルとの共演、ザルツブルク音楽祭出演、さらにソヴィエト・ツアーと、世界的なピアニストのとしての地位を確立してゆきます。
 特別注文の異様に低い椅子を常に用い、前のめりの姿勢でピアノに向かって、時に大きな手振りやうなり声まで発する特異な奏法でも世間の注目を集めたグールドは、さらに作曲や著述もおこない独自の芸術論を展開するなど、単なるピアニストにはとどまらない存在でした。解釈を巡ってバーンスタインと意見が合わないまま演奏されたというブラームスの第1協奏曲のライヴなど、その強い主張は時に周囲と衝突することもあったようです。やがてグールドは、聴衆と演奏者の関係性や、演奏の一回性への疑問を主張、1964年3月28日のシカゴでのリサイタルを最後に、コンサート活動からのドロップアウトを宣言してしまいます。
 その後は、中心レパートリーであるバッハ等のレコーディング、さらに故郷トロントへ戻ってラジオ、テレビなどの放送媒体で活動を展開、演奏はもちろんドキュメンタリー番組の制作を含む多彩な活躍が続きます。
 レコーディングでは、なんといってもバッハ録音が質・量とも圧倒的です。それまでフィッシャーやギーゼキング、トゥレック等を別にすれば、ピアノで弾かれる機会が比較的少なかったというバッハの鍵盤楽器のための作品を、教則の域を脱してコンサート・レパートリーとして定着させたのは、グールドのバッハ録音の成功だったとも言われています。『ゴルトベルク変奏曲』『平均律クラヴィーア曲集』『イギリス組曲』『フランス組曲』『インヴェンションとシンフォニア』等々、現在も高い評価を受けている名盤揃いで、自らも『平均律』の名盤を録音しているスヴャトスラフ・リヒテルが「バッハの最も偉大な演奏者」と評したように、同時代のピアニストはもちろん、後進に与えた影響には計り知れないものがあると言えるでしょう。
 もちろん、グールドの才能はバッハにとどまらず、ベートーヴェンモーツァルトブラームス等でも個性的な魅力を発揮、そのユニークな芸術観により厳選されたレパートリーは、いずれも独創性に富むグールドならではの演奏と評されています。
 1981年に『ゴルトベルク変奏曲』を再録音同時に映像も収録されたこのレコーディングで、グールドはデビュー盤とは異なるアプローチを聴かせて世界の音楽ファンをふたたび驚かせ、魅了しますが、1982年10月4日、脳卒中により突然亡くなってしまいます。享年50歳というあまりにも早すぎる死は、そのデビュー同様、世界に衝撃を与えました。

収録曲   

  • 01. J.S.Bach: Piano Concerto No. 1, BWV 1052: I. Allegro [06:53]
  • 02. II. Adagio [06:06]
  • 03. III. Allegro [06:59]
  • 04. Applause [00:23]
  • 05. Beethoven: Piano Concerto No. 5, Op. 73: I. Allegro [19:58]
  • 06. II. Adagio un poco moto - attacca [08:22]
  • 07. III. Rondo. Allegro [10:14]
  • 08. Schonberg: Piano Concerto, Op. 42 [18:33]

ユーザーレビュー

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1958年にベルリンでグールドの生演奏(カラ...

投稿日:2011/04/09 (土)

1958年にベルリンでグールドの生演奏(カラヤン指揮ベルリンフィルでのバッハ/ピアノ協奏曲第1番)を見た、若き日の園田高広氏が「グールドの音楽は口につくしがたい魅惑に満ちていて、ことにピアニッシモの美しさは想像を絶している」と絶賛したように、ライブでのグールドは計算しつくされたスタジオ録音とまた違った魅力がある(その魅力は、グールド自身が最も嫌悪したものであったが)。また、バーンスタインとのブラームスに代表されるように、協奏曲では指揮者(やオケ)との解釈の相違がしばしば注目されてしまうのがグールドである。 The Secret Live Tapesと題されたこのCDには、3曲の協奏曲のライブが収録されている。注目は今回、初めて世に出ることとなった「第三の『皇帝』」である。 これまで知られている同曲の録音は、ユニークな解釈を指摘されることが多いストコフスキーとのスタジオ録音(1966年)とDVDで見ることができるアンチェルとのテレビ放送録音(1970年)の2種であるが、本盤はスタジオ録音より6年前のライブ盤(これまで存在すら知られていなかった)ということで、グールドがどのような解釈と演奏をしたかに大変興味を持っていた。 全体的にテンポが速く、印象は1970年盤に近い(総演奏時間は、本盤38分34秒、66年盤43分9秒、70年盤36分37秒)が、ピアノソロパートで聴くことができる弱音の表現が本当に素晴らしく、これだけでも買う価値がある。ただ、録音音質はライブ盤であることを差し引いても貧弱で、ピアノとオーケストラとずれも散見されるなど、問題点がないわけではない。 本盤には、『皇帝』以外にバッハとシェーンベルクの2曲の協奏曲も収録されている。いずれもグールドがライブで好んで演奏した曲で、今回が正規盤として初発売となる(以前、伊NuovaEra原盤として出ていた)。このうち、バッハは1958年ザルツブルク音楽祭でのライブ盤であり、これでザルツブルク音楽祭でのグールドの録音は既発の1959年ソロリサイタルと併せてすべてソニーから入手できるようになった。演奏そのものは、スタジオ録音やよく知られているレニングラード(サンクトペテルブルグ)ライブの端正な演奏(いずれも1957年)とは異なり、極端に早く(前2者の演奏時間が24分に対して、19分25秒と約20%短い)、グールドの緊張感が聴き手にも伝播する。そのような「荒い」演奏だが、第2楽章での美しさには息をのむ。また、シェーンベルクはスタジオ録音(1961年)をさかのぼること3年前のライブ録音で指揮は、後にバッハでも共演したミトロプーロスだが、演奏を受け持ったのが自らが音楽監督を務めたニューヨークフィルだったからか、オーケストラとグールドとが一体となった演奏で、本盤に収録された3曲の中で、最も演奏の完成度が高い。 早いもので、グールドが50歳の若さで没して来年で30年の月日が流れ、新たな作品が出ることがほとんど期待できない中、世界初出の『皇帝』を含む希少なライブ盤が姿をあらわしたことはグールドファンにとって大きな喜びである。

北の旅人 さん | 神奈川県 | 不明

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