パスカル・キニャール

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涙 パスカル・キニャール・コレクション

パスカル・キニャール

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784801002265
ISBN 10 : 4801002269
フォーマット
出版社
発行年月
2018年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
178p;20

内容詳細

「ストラスブールの誓い」に立ち会った年代記作者ニタール、見知らぬ女の顔を探し求め彷徨するアルトニッド。反復する誕生、鏡像のような双子。カロリング朝を舞台に、史実と虚構を断章形式で織り交ぜ、フランス語の起源に肉薄する謎めいた小説。ヨーロッパの揺籃期を見据え、土地に宿る言葉と記憶を行き交い、ありのままの涙を湛えた、アンドレ・ジッド文学賞受賞作。

【著者紹介】
博多かおる : 東京大学卒業、同大学大学院およびパリ第七大学大学院博士課程修了。博士(文学)。上智大学文学部フランス文学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ケイ さん

    アーサー王の頃、フランスではフランク王国の基礎が出来てくる時代に、伝説とフェアリーテイルをキニャールが作り上げる。若さと美しさは神秘だが、剥いでしまえば見えるものは愛かグロテスクか。愛のゆえであれ、奪われたのであれ、行為の後で命が生まれる。子孫ができる。そして、愛も裏切りも、失望や哀しみも、あきらめとなる。マホメットの民と戦い、国境をまもり、息子を失う。途切れ途切れの伝説を聞かされたあとに、歴史的な話になるのが心地よかった。

  • Naoko Takemoto さん

    フランスではアンドレ・ジッド賞を取得したというが、翻訳は困難を極めたと思われる。フランク王国の歴史と叙情的な散文が続き、マニア向けパスカル・キニャールという感あり。そんな中、人間的リアリズムで登場するのが超猫好きのリュシウス修道士。鳥好きの修道士が言う「リュシウス修道士は言いました。猫が好きでない人間は、例外なくみな、自由を嫌悪する者であることがわかった。」そう言いたい気持ちがわかる。万物を愛する気持ち、失う悲しさ。その繊細で純粋な気持ちは、この抒情詩の美しい表現に匹敵するものに違いない。

  • NY さん

    シャルルマーニュとその子孫の時代の西ヨーロッパ。キリスト教は広まっていたが、国や言語、都市の姿はまだ曖昧で、人間と民族、自然と動物が主役だ。これらが渾然一体となり、ノルマンディー生まれの作者キニャールに宿って、時空を超えた不思議な物語が生まれた。そんな印象だ。その中で、黒猫を愛したリュシウス修道士だけが、現代的な感覚で認識可能な存在のように思える。サン・リキエ修道院もいつか訪れてみたい。

  • 訃報 さん

    歴史を語る離れた叙述でありながら、詩でもある。静謐で、時に残酷で、情熱的で、たとえようもなく美しい。こんな小説が読みたかった。話の三割も理解できてないけど、そこじゃないんだよな。自分が断章形式フェチなのは自覚していたが、断章なら何でもいいというわけではない。この小説の断章は、今まで読んできた中でいちばん理想に近いものだったと思う。

  • miaou_u さん

    [『どこ』はどこ?『いつ』はいつ?『なぜ』はなぜ?] これが、この歴史絵巻の全てのテーマに思える。アンジルベール伯の「まったく、年を重ねていっても人はたいしたことを学ばないのかもしれない」という言葉や、「空腹、眠気、欲望の輪の中をわたしたちは巡っている」、これは作家自身の、混迷を極めるこの世界に対する嘆きなのではないだろうか。生命、言葉の栄枯衰退の乾いた人の輪廻の涙は、自然の息吹の中へと溶解し、大河と化す。創世から絶え間なく繰り返す過ちの濁流に飲み込まれぬよう、こう叫ぶのだ。『魂を引き止めよ!』。

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