ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685−1750):
トッカータ ハ短調BWV.911
トッカータ、アダージョとフーガ ト長調BWV.916
トッカータ嬰ヘ短調BWV.910
トッカータ ホ短調BWV.914
トッカータ ニ短調BWV.913
トッカータ ト短調BWV.915
トッカータ ニ長調BWV.912
アンジェラ・ヒューイット(ピアノ)
2002年5月12日に水戸芸術館でただ一度行われた日本公演は、御大吉田秀和氏を始めとする多くのクリティーク、音楽ジャーナリスト、各地から駆けつけたファンで満員の盛況。その多くの聴衆が注目する中で、まず弾かれたのがバッハ。今後長く語り継がれるであろう感動的なリサイタルを聴けた人はわずか数百人だったわけですが、会場でのCD即売は水戸芸術館の開館以来、最高記録を塗り替えたといいます。
これであと大きな独奏のための曲集といえば「イギリス組曲」を残すのみとなりました。トッカータ7曲すべてがCD1枚に収まっているのもうれしいところです。
J.S.バッハ青年時代の作品とされる《トッカータ》は、ブクステフーデの多部分形式による比較的大規模なオルガン作品を範として完全に消化し、自らの音楽語法を確立した傑作群です。
そのスタイルは、同名の冒頭部を持つオルガン作品同様、絢爛豪華な導入の走句、中間に置かれたフーガと緩徐部分、そして堂々としたフーガ(BWV916は中間が緩徐部のみ)から成るという構造的なもので、オルガン的な要素が色濃く残されており、規模は小ぶりながらもきわめて華やかな面を持つものだと言えるでしょう。
ヒューイットの演奏は、これらの作品の性格を活かしたパワフルかつ十分な質量を伴った見事なスケール感が印象的なものですが、一方では、走句での歯切れのよさもトッカータにふさわしい爽快感を与えてくれています。
録音時期:2002年1月
録音場所:ロンドン、ヘンリー・ウッド・ホール
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)
1685年:アイゼナハで誕生。
1700年:リューネブルクに移り、修道院付属学校の給費生として生活。
1703年:ヴァイマルの宮廷楽団に就職。
1707年:ミュールハウゼンの聖ブラジウス教会オルガニストに就任。同年、マリア・バルバラ・バッハと結婚。
1708年:ヴァイマルに移って宮廷オルガニストに就任。
1714年:楽師長
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