英雄交響曲、『失楽園』による劇的幻想曲、他　ウィレンズ＆ケルン・アカデミー

ジギスムント・ノイコム：英雄交響曲、ほか
ウィレンズ＆ケルン・アカデミー

シギスムント・ノイコム[1778−1858]は少年時代からザルツブルクのオルガニストなどとして活躍。16歳からはウィーンで晩年のハイドンに7年間師事して信頼を得、『天地創造』などの編曲も手がけていました。
　その後、ノイコムはザルツブルクやサンクトペテルブルグ宮廷で過ごし、パリでは騎士の称号を授与されるなど大活躍、やがてリオ・デ・ジャネイロに遷都していたポルトガルのブラガンサ王朝から招かれて南米に渡り、1821年に王朝がリスボンに戻るまで、ハイドンやモーツァルトの音楽を広めるのに貢献、ブラジルの神父に依頼されてモーツァルトのレクィエムを補筆した、いわゆる「リオ・デ・ジャネイロ版」でも知られています。
　ほどなくパリに戻ったノイコムは、以後亡くなるまでヨーロッパ各地で過ごすこととなります。
　作曲家としてのノイコムは、千数百もの作品を残したと言われていますが、最も有名な「レクィエム」が知られるようになるのは1990年代の終わりのことでした。

　今回登場する『英雄交響曲』は、1818年に出版されています。この古典派後期とロマン派初期の重なる時期に書かれた作品は、ベートーヴェン[1770-1827]や、ベルリオーズ[1803-1869]を思わせるような標題が印象的でもあります。
　演奏は、ドイツの古楽器オーケストラ「ケルン・アカデミー」によるもので、指揮は古楽スタイルを身につけて活躍中のアメリカ出身の指揮者、マイケル・アレグザンダー・ウィレンズが担当。彼らはすでにノイコムの作品集を他のレーベルにレコーディングしていたので（福田理子とのピアノ協奏曲ほか）、今回の録音の成果も期待されるところです。（ＨＭＶ）

【収録情報】
ノイコム：
・英雄交響曲 Op.19
・大オーケストラの幻想曲 Op.9
・ミルトンの『失楽園』による幾つかのパッセージの劇的幻想曲
・大オーケストラの幻想曲

　ケルン・アカデミー
　マイケル・アレグザンダー・ウィレンズ（指揮）

　録音時期：2010年
　録音方式：ステレオ（デジタル）