魔の山 下 岩波文庫

トーマス・マン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784003243374
ISBN 10 : 4003243374
フォーマット
出版社
発行年月
1988年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,690p

内容詳細

理性を尊び自由と進歩を唱導するセテムブリーニ。テロと独裁によって神の国を実現させようとする非合理主義者ナフタ。2人に代表される思想の流れはカストルプの魂を奪おうと相争うが、ある日雪山で死に直面したカストルプは、生と死の対立を超えた愛とヒューマニズムの道を認識する。人間存在のあり方を追求した一大教養小説。

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

☆
☆
☆
☆
☆

0.0

★
★
★
★
★
 
0
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ヴェネツィア さん

    魔の山は病と死とが間近にある世界だが、見方を変えれば、それはまた一種の特権的なアジールでもあっただろう。そこは、第一次大戦の最中にあった世間とは隔絶した世界だったからである。セテムブリーニとナフタの論戦も、いわば形而上の世界のそれである。もっとも、そこで戦われるのは遅れてきた自由主義と、血の絶対主義との論戦であった。マンの手法を弁証法ととらえるならば、ペーペルコルンこそがその止揚の先に位置するのだろうが、そのような図式というわけでもない。ハンスは解答あるいは確信を持たないままに魔の山を後にするのであり⇒

  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    確固たる自我がなく、対局的な二人に翻弄されていたハンス君だったが、雪山で遭難しそうになった事で彼は夏目漱石同様に「あるがまま」を受け入れていく。でも今まで影響を受けていた二人に反発しちゃう辺り、まだまだ、青いね(笑)しかし、理性的でいつも偉そうなセテムプリーニもナチズムに傾きつつあるドイツの影響を受けて少し、変質していく描写が妙に切なかったです。そして最後の終わり方なんて『明日にむかって撃て!』や『おれたちに明日はない』みたいに避けられなかった破滅を予感させながら妙に清々しさが残る場面だな・・・。

  • NAO さん

    時が止まった精神世界ともいえる山の上で、7年間にわたって思索し続けたカストルプ。だが、延々と続くかに思えた夢のような精神世界での彷徨も、超現実的な戦争の到来が告げられたとたん、事態は一変する。そして、「魔の山」という世俗を超越した場所が、実はヨーロッパの資本主義的経済形態に支えられ、それに依存していたのだということが明らかになる。第一次世界大戦の勃発によって古いヨーロッパの資本主義社会が崩れ去るとともに、「魔の山」も崩れ去るしかなかったとは、なんとも皮肉な話だ。

  • イプシロン さん

    解説や評論だと第六章「雪」がハイライトとあるが、そうは読めなかった。「雪」で語られるのは人文主義だろうが神秘主義だろうが、思想・哲学が組織・団体的なれば政治的に極端になり有害だ。ゆえに個人として自立しつつ中道であるべきだと気づくということであって、ここで提示される気づきはいまだ浅いのだ。もっともその気づきは自己の中に宇宙森羅万象の記憶が秘められている気づきでもあったから、死や絶望の直近に至ってようやくそれに気づけたことが語られているのは非常に鋭い真理ではあろう。そこで登場するのがペーペルコルンなのだろう。

  • zirou1984 さん

    下巻に入ると俄然興味深くなってきた。フリーメーソン会員であるセテムブリーニとイエズス会士のナフタによる論戦は20世紀初頭の時代精神を感じさせるし、そうした形而上学的議論を吹っ飛ばすペーペルコルン氏のわかり易い器の大きさとその退場の仕方は現代的だ。物語は「人間は善意と愛を失わないために、考えを死に従属させないようにしなくてはならない」という言葉が感動的な「雪」の章の後、緩やかに下山するかの様に死の景色が強くなるが、先の言葉を思い返すことでその景色を越えていくのだ。そして物語の時は止まり、私達の時が動き出す。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

人物・団体紹介

人物・団体ページへ

トーマス・マン

1875年ドイツのリューベックに生まれる。1894年“Gefallen”でデビユー。1929年ノーベル文学賞を受賞。ナチスの台頭によりアメリカに亡命し戦後はスイスに移住。ヒューマニズムの立場で民主主義を支持。作品に「ヴェニスに死す」「魔の山」などがある。1955年没

プロフィール詳細へ

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品