トーマス・ベルンハル

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トーマス・ベルンハル

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622079903
ISBN 10 : 4622079909
フォーマット
出版社
発行年月
2016年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
493p;20

内容詳細

孤高の作家が生んだ比類なき、怒涛の長編。主人公フランツ‐ヨーゼフ・ムーラウが両親と兄の死を告げる電報を受け取るローマの章「電報」と、主人公が葬儀のために訪れる故郷ヴォルフスエックを描く章「遺書」からなる本書は、反復と間接話法を多用した独特の文体で、読者を圧倒する。

【著者紹介】
トーマス・ベルンハルト : 1931‐1989。20世紀のオーストリア文学のみならず世界文学を代表する作家・劇作家。1931年2月オランダのマーストリヒト近傍に生まれる。1957年に詩集『地上にて地獄にて』でデビュー。エッセー集『私のもらった文学賞』(2009)は、ビューヒナー賞はじめ、自分の受けた文学賞のうち9つの賞をテーマに自伝的コンテクストを盛り込んであざやかに仕立て上げた作品(邦訳みすず書房、2014)

池田信雄 : 1947年東京に生まれる。東京大学名誉教授。ドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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家族と離れて暮らしている男が、ひたすらに...

投稿日:2019/01/07 (月)

家族と離れて暮らしている男が、ひたすらに家族や故郷の悪口を、凡そ1000pに渡って、延々と語るという内容。 悪口ばっかやけど、読んでる自分は、逆に明るくなっちゃうから不思議な本だ!

Joe さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • harass さん

    オーストリア出身の主人公は両親と兄が事故死をしたと知り、唾棄すべき家にもどるのだが…… 一人称の主人公の視点と語りのみで突き進む500ページ近く改行無しの全方位的なダメ出し。自分さえも対象に。文章は難しくないが独特な反復や間接話法は変なリズムがあり、執拗な心理分析や描写が相乗効果をもたらす。神や作者の視点がないので主人公の毒を吐く語りが本当なのかわからないという疑いが読む途中ついてまわる。貸出延長をくり返してようやく読了。ある種の感動があった。

  • かんやん さん

    家族と祖国オーストリア(カトリックとナチズム)、ひいてはドイツ語・ドイツ文学に対する恨みつらみ、憎しみ、悪口雑言が改行なしにクドクド述べられていおり、それがグルグルと反復する独特の語り口。ここまでくると一種爽快で、時には笑いももれる。これは誇張のためであって、語り手は誇張表現に一家言あるのだ。しかし、認識に具体性が欠け、省察に深みもなく、豊かな脱線やどこまでも突き詰めてゆく凄みはない。どこまでいっても、クドクド悪口、グルグル反復、である。あくまでもツベコベ理屈、である。いっそ天晴れである。

  • 三柴ゆよし さん

    世界に対する呪詛と、裏返しの愛着が、全き散文によって詩的芸術にまで高められた傑作。手当たり次第に毒づきまくるかにみえる語り手・ムーラウの憎悪の対象にはある法則性が存在し、それは要するに写真、演技、世辞……といった人工物に対するムカつきなのだが、一方で、そうした欺瞞を仕留めるために、いま彼の手によって書かれつつある<文学>という形式こそ人工物の極致であるところに、度しがたい憎悪の根本がある。要するに、おまえが言うな。そのブーメラン的ユーモアとイロニーが、際限なく続く悪口雑言に不思議な明るさをもたらしている。

  • 春ドーナツ さん

    冒頭から文学的眩暈に見舞われた。「・・・つまりジャン・パウルの『ジーベンケース』、フランツ・カフカの『審判』、トーマス・ベルンハルトの『アムラス』(!)、ムジールの『ポルトガルの女』、ブロッホの『エッシュもしくは無政府主義』を細心・・・」(5頁)むらむら。嗚呼切れ目なく浮かぶ読書計画よと熱い吐息。本書は会話文も地の文に含まれ改行は一切ない。「と私はガンベッティに言った」の多用が文章に律動を付与していると思う(「電報」)。ゼーバルトを憶う。244頁を捲る/中欧の太宰だと閃く。*「と私は考えた」(「遺言」)

  • ケイトKATE さん

    468ページ改行なしで語られる主人公フランツ−ヨーゼフ・ムーラウの独白は、両親、きょうだい、親類、故郷ヴォルフスエック、ヴォルフスエックの人々、オーストリア社会への容赦ない罵詈雑言が延々と語られている。悪口ばかりの文章なんて不快極まりないと思われがちだが、トーマス・ベルンハルトの文章には笑いの要素が兼ね備えておりとてつもなく面白かった。特に母親と“ワインボトル用コルク栓製造業者”しか称しない義弟に対する悪口は痛快極まりなかった。『消去』を読み終えて、トーマス・ベルンハルトは私にとって重要な作家になった。

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