メタボール、交響曲、時の影、チェロ協奏曲、他　バレンボイム、ザッハー、ロストロポーヴィチ、小澤征爾、ノラス、他（４ＣＤ）

デュティユー作品集〜メタボール、交響曲、時の影、チェロ協奏曲、他（４ＣＤ）
バレンボイム、ザッハー、ロストロポーヴィチ、小澤征爾

ときに現代のドビュッシーとも言われるアンリ・デュティユー[1916- ]の作風は、ドビュッシーや、ラヴェル、オネゲルなど、フランス近代の流れを汲む精妙な美しさと迫力を兼ね備えたもので、無調など現代風味の技法も適度に加味しながら、独自の世界を築き上げています。 　今回登場するセットは、デュティユーの代表作をエラート・レーベルの音源（チェロ協奏曲のみFINLANDIA）で集めたもので、デュティユーと関係の深かったアーティストたちによる演奏が数多く収録されています。

【オーケストラ作品】
デュティユーの特徴が最も良くあらわれているのがオーケストラ作品。複雑で高度な技術を駆使し、現代ならではの精細かつ透明な音から、鋭く荒々しいで音まで縦横に表現しています。
　交響曲第1番は、ディティユー35歳の時の作品。戦後のムーヴブメントでもあった新古典主義的スタイルを採用しながらも、デュティユーらしい目の詰んだ響きで迫力ある音楽を聴かせます。 　交響曲第2番は、ボストン交響楽団からの委嘱作で、大小2群のオケを使うことから『ル・ドゥーブル』という名前が付けられています。作風はいかにもデュティユーらしい響きの美しさで聴かせるもので、現代の印象主義ともいうべき、その音の変遷の美しさには独特の魅力が備わっています。
　『メタボール』は、クリーヴランド管弦楽団からの委嘱作で、現代化された印象主義的なスタイルによる変奏曲となっています。
　『時の影』は、小澤征爾からの委嘱作で、きわめて色彩豊かな美しい作品に仕上がっています。
　『音色、空間、運動』と、24の弦楽器、ツィンバロンと打楽器のための『瞬間の神秘』も収録。

【協奏曲】
ロストロポーヴィチから委嘱されたチェロ協奏曲は、ソロの美しさに加えて、入念に描き込まれたオーケストラのサウンドが現代の協奏曲の醍醐味を味わわせてくれます。

【室内作品】
室内楽では多分に印象主義の雰囲気が継承されており、有名な弦楽四重奏曲『夜はかくの如し』もドビュッシーを思わせる部分も含む聴きやすい仕上がりとなっています。
　オーボエとチェンバロ、コントラバス、打楽器のための『引用』と、無伴奏チェロのための『ザッハーの名による3つのストロフ』も収録。

【ピアノ曲】
ピアノ曲でもデュティユーの特徴でもある伝統と現代のミックスは巧みにおこなわれており、凝った構成と展開に見事なコラールが印象深いピアノ・ソナタは特に聴きもの。
　「3つの前奏曲」と、2台ピアノのための『響きの形』も収録。

【声楽曲】
『サンフランシスコの夜』と『ジャン・カソーの2つのソネット』を収録。（ＨＭＶ）

【収録情報】
デュティユー：
・交響曲第1番
・交響曲第2番『ル・ドゥブル』
　パリ管弦楽団
　ダニエル・バレンボイム（指揮）
　録音：1987年（デジタル）

・『瞬間の神秘』〜24の弦楽器、ツィンバロンと打楽器のための
　コレギウム・ムジクム
　パウル・ザッハー（指揮）
　録音：1990年（デジタル）

・『メタボール』
・『音色、空間、運動』
　フランス国立管弦楽団
　ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ（指揮）
　録音：1982年（デジタル）

・『引用』
　モーリス・ブルグ（オーボエ）
　ユゲット・ドレイフュス（チェンバロ）
　ベルナール・カゾーラン（コントラバス）
　ベルナール・バレ（打楽器）

・ピアノ・ソナタ
・『響きの形』〜2台ピアノのための
・3つの前奏曲
　ジュヌヴィエーヴ・ジョワ（ピアノ）
　アンリ・デュティユー（ピアノ）
　録音時期：1988-93年（デジタル）

・『ザッハーの名による3つのストロフ』〜無伴奏チェロのための
・『夜はかくの如し』〜弦楽四重奏のための
・『ジャン・カソーの2つのソネット』
　ダーヴィト・ゲリンガス（チェロ）
　シネ･ノミネ弦楽四重奏団
　ジル・カシュマイユ（バリトン）
　アンリ・デュティユー（ピアノ）

・『サンフランシスコの夜』
　ドーン・アップショウ（ソプラノ）
　ジェローム・デュクロ（ピアノ）
　録音：1991年（デジタル）

・『時の影』
　ジョエル・エッシャー（声）
　ラシェル・プロトキン（声）
　ジョーダン・スワイム（声）
　ボストン交響楽団
　小澤征爾（指揮）
　録音：1998年（デジタル）

・チェロ協奏曲『遥かなる遠い国へ』
　アルト・ノラス（チェロ）
　フィンランド放送交響楽団
　ユッカ＝ペッカ・サラステ（指揮）