巨匠チェルハが40代に作曲した実験的大作の音源がCD化!
いずれもORFレーベルの12枚組BOXセット(CD180)や自作自演集(CD174)で発売されていた音源ですが、(1)と(2)は今回単独で入手しやすくなりました。
2012年で86歳を迎える巨匠チェルハが40歳代に制作した実験的大作『そして君は... (Und du...) 』は語り手の「ヒロシマ、閃光、火災、苦痛、粉塵」という朗読で始まり、「...しかしヒヨシ氏と彼の家族は生き残った」と続くうちに電子音とオーケストラの音響が次第に層を重ね、核の恐怖と現代の黙示録的な世界が展開します。作曲当時の緊張した世界情勢も反映された野心的なシアター・ピースで、音楽語法としては当時最先端であったコンピュータ音響合成、テープ操作、当時流行した音群作法などが総動員されています
『目録(フェアツァイヒニス)』は不確定性を含む合唱曲で歌手が足を踏み鳴らすなど、後のラッヘンマンを予感させる作品。『Kのために』は彫刻家カール・プラントルの70歳の誕生日を祝って作曲された曲。チェルハはプラントルの作品から度々霊感を受けているようで、この他にも彼の名を冠した作品(カール・プラントルのための記念碑など)を作曲しています。同作品はチェルハ自身、その出来を気に入っているようで、度々自らタクトを執っている彼の代表作です。(TOBU)
【収録情報】
チェルハ:
1. 『そして君は... (Und du...) 』 (1963)
2. 『目録 (Verzeichnis) 』 (1969)
3. 『Kのために』 (1993)
E.マイスター、H.ヤナッチュ、G.ヴィーラント、G.アンダース、G.ツィンマー(語り手:1)
オーストリア放送合唱団(2)
アンサンブル・ディ・ライエ(1)
ウィーン放送交響楽団(1,3)
エルヴィン・オルトナー(指揮:2)
フリードリヒ・チェルハ(指揮:1,3)
録音時期:1963年8月(1)、1983年11月(2)、1993年(3)