砂時計 東欧の想像力

ダニロ・キシュ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784879842480
ISBN 10 : 4879842486
フォーマット
出版社
発行年月
2007年01月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
20cm,310p

内容詳細

旧ユーゴスラヴィアの作家キシュの代表作のひとつ。強制収容所で命を落とした男の手になる1通の手紙。その手紙の世界・時代を、多様な文体と語りの構成によって、男の息子=キシュが再創造する。

【著者紹介】
ダニロ・キシュ : 1935年、旧ユーゴスラヴィアのセルビア北部の町スボティツァで、ハンガリー系ユダヤ人の父とモンテネグロ人の母のあいだに生まれる。父は1944年にアウシュヴィッツの強制収容所に送られて、消息を絶っている。第二次大戦後、母の故郷のツェティニェに移住。ベオグラード大学文学部へ進学し、修士課程修了後はフランス各地の大学でセルビア・クロアチア語の講師をしながら小説を執筆した。1989年10月15日、パリで死去

奥彩子 : 1976年生まれ。1999年、京都大学文学部卒業。1999年より1年間、ベオグラード大学留学。2002年、京都大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士課程。スラヴ文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • zirou1984 さん

    困難な経験というものは平易に語りうるものではない。言語を絶する悲劇を言語で表そうとする困難さ、その過剰さを突き詰める事で騙し絵の様にしか描けない悲劇というのもまた存在するのだ。アウシュビッツに連れ去られた父の遺品である1枚の手紙、それを軸として人称も時系列も感覚も分断し、再構築されたこの小説は正に小説でしか不可能な方法で、闇夜に広がる仄かな灯の様にじわじわと一つの悲劇を浮かび上がらせる。砂時計をひっくり返す様に何度でもこの物語を辿り直そう。東欧の想像力シリーズ1冊目に相応しい、想像力の臨界点の様な作品だ。

  • em さん

    細切れの断章。この作家は、私たちが普段本を読むときにやっているのと逆のことを試みたのではないかという気がした。つまり、先に頭の中で映像を流し、あとから文章化したような感じ。映像ならフラッシュバックは簡単に表現できるけれども、文章ではつながりを表すために余分な説明が必要となる。それを排するかわりに、細部を描写する。語り手が誰なのか、今どこにいるのかも定かではないままページが進んでいくうちに、読者はイメージを蓄積していき、輪郭をつかみはじめる。東欧の想像力シリーズは結構読んでいるのですが、これが1作目とは…。

  • ドン•マルロー さん

    シンプルにいってしまえば、E.Sという謎めいた男の影をただひたすらに追いかける話だ。だが、作品全体の印象はむしろ複雑であり、難解であるとさえ言えるだろう。読者に渡されるのは心許ない一個の灯だけだ。我々はその仄かな灯だけを頼りに、広大な暗闇を探求せねばならないのだ。しかしそれは恐らく、著者であるキシュも同じだったに違いない。なぜなら本作はアウシュビッツで処刑された、キシュの実父の手による一通の手紙を元に書かれたというのだから。彼はその時まさに”砂時計”を手にしたのだ、時間の可逆性のシンボルとしての砂時計を。

  • syaori さん

    素晴らしいです。最初は当惑することと思います。作者は小さなあかりを用意してくれていますが、目が慣れないうちは暗闇のなかを手探りで歩く感覚です。あやめも分かぬ暗闇で方向を見定めようと目を凝らすと、E・Sという男について、様々な方法で(手記だったり、尋問形式だったり)語られているのだということが分かってきます。ただ、それはひどく断片的で要領を得ません。しかしじっと、揺れる炎に照らされた断片を追っていくとE・Sという男が陽炎のように現われてくるのです。その様にはある種の感動を覚えないではいられませんでした。

  • みみみんみみすてぃ さん

    暗いです。漂う緊張感、狂気、死、無力感、「疲れました。ー続けてください、続けてください」 最初はポストモダン的な、アクロバティックな構成に目がいっていたが、朧気ながら話が繋がってくると、とても暗いし陰鬱な物語でもある。それほどこの作品は複雑であり、深い。 ジーンとくる感じ。『庭、灰』を読みたい!

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