また一人魅力的な作曲家に巡り合った。ビバルディより8年後に生まれているがまぎれもないバロック音楽だ。元々はバイオリンソナタとして出版されたが、重音を用いないメロディーラインであるので、他の単旋律楽器でも演奏可能だし、作曲家自身もこれを念頭においていたかもしれない。このCDではリコーダーで演奏されているが何の違和感もない。愁いを帯びた短調の曲は特に胸を締め付けられる。コレッリに師事し、弟子の一人はルクレールであるそうで、引き継がれた響きも感じる。ルクレールやノウドの音色や、サマルティーニを彷彿させるところもある。緩-急-急の楽章形式は、おや？と思ったが、教会ソナタの変形のようであり、コレッリやビバルディの曲にもいくつかはある。録音もきれいに採れており、美しいメロディーラインと共に素晴らしいCDに仕上がっている。当方にとっては今年最高の一枚となりそうだ。