スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

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亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784000613033
ISBN 10 : 4000613030
フォーマット
出版社
発行年月
2022年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
446p;19

内容詳細

「国際友好の義務を果たす」という政府の方針でアフガニスタンへ送り出されたソ連の若者たち。やがて彼らは一人、また一人と、亜鉛の棺に納められ、人知れず家族のもとへ帰ってきた。あるいは生きて戻った者も、癒しがたい傷を負い、鉛のような心を抱え苦しんでいた…。作家がみずから体験し、聴き取り、書き留めた、同時代の戦争の記録。棺とともに封印され葬られた真実が、帰還兵、現地の兵士、事務員、看護師、戦没者の母親や妻たちの肉声を通じて明かされる。新版では、本作の内容をめぐって作家自身が証言者の一部から告発された裁判の顛末など大幅に加筆、旧版の約二倍の増補となる。新訳。

目次 : プロローグ/ 手帳から(戦地にて)/ 一日目「多くの者が私の名を名乗って現れ…」/ 二日目「ある者は心を苦しめて死に…」/ 三日目「口寄せや呪い師のもとに赴いてはならない…」/ POST MORTEM/ 『亜鉛の少年たち』裁判の記録

【著者紹介】
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ : 1948年ウクライナ生まれ。国立ベラルーシ大学卒業後、ジャーナリストの道を歩む。綿密な聞き書きを通じて一般市民の感情や記憶をすくい上げる、多声的な作品を発表。戦争の英雄神話をうち壊し、国家の圧制に抗いながら執筆活動を続けている。2015年ノーベル文学賞受賞

奈倉有里 : 1982年東京生まれ。ロシア国立ゴーリキー文学大学卒業。東京大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • trazom さん

    この本を読んでいる二日間、気分は滅入り、食欲減退、そして突然涙が込上げてくる不安定な精神状態になる。ソ連のアフガニスタン侵攻に参加した将校、兵士、軍医、看護師、補助員(中には慰安婦も)たちの証言が続く。まさに地獄絵である。戦闘の凄まじさ以上に、精神が壊れてゆく恐怖。更に、亜鉛の棺に納められて帰国する我が子を迎える母たちの証言に、震えが止まらない。書籍をレビューする言葉すら見つからない圧倒的現実に恐れ戦く自分がいる。ルポルタージュ文学における作家の立ち位置の難しさを指摘した奈倉有里さんの訳者解説も秀逸。

  • アキ さん

    ソ連が「国際友好」という名の元にアフガニスタンで侵略戦争をしていたのは1979年から89年まで10年間にも及ぶ。その間多くの若者が祖国のために悲惨な死を遂げた。ソ連軍の戦死者は1万5051名。亜鉛の棺に入れられ「英雄」として故郷に戻った。スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチは兵士の母親、帰還した兵士、現地で働いた女性、兵士の妻たちから膨大な証言を集め、1990年ドキュメンタリー小説を書いた。3年後祖国ベラルーシで訴えられ、その裁判の記録も加筆された。ただ一番耳を傾けたい戦死者の言葉だけは聞くことができない。

  • syaori さん

    アフガン帰還兵やその家族へのインタビュー。語られるのは失ったものについて、子供、夫、以前の自分。また現地で見、体験したことについて。作者が掬い上げる人々の声により、戦争は歴史は「人の等身大にまで縮め」られ、生や理念のロマンは剥ぎ取られ、戦争を行う国家の欺瞞と「私たちは何者なのか」という問いが浮上する。ここにあるのは殺し殺された「平凡な」人生の断片たちで、「そこに意義などない」。しかし、それらのものこそが世界を形作っている偉大で美しくかけがえのないものでもあるのだという目を、作者の本はくれるように思います。

  • キムチ27 さん

    読むのに10日で足りなかった。文字は追えるが脳は内容を玩味しようとしても、一部が拒み、精神的に咀嚼できぬものが多かった。祖国愛、帝国主義打倒を謳う国、それを愛する国民。戦へ向かう息子を頼もしく送り出す母、が一夜にして奈落へ。懊悩に身悶えするが骸は亜鉛の箱に納められ。。露は広大すぎる、そして多民族、多宗教。自然は過酷。相次ぐ災害、飢餓、疾病等。豊かなものを求めて、或いはイデオロギーの旗を掲げ常に戦を好んできたと言われても仕方ないのでは。東スラブに端を発し、キエフ公国〜ロシア。レーニン、スターリン等々

  • ヘラジカ さん

    フィクションでは決して到達し得ない領域。天才的な想像力を駆使し、どれだけ巧みに言葉を操っても、小説では同じように”真髄”を捉えることは出来ないかもしれない。そう思わせてしまうほど凄みのある本だった。人間とは何か、国家とは何か、生きることとは何か、それが知りたければアレクシエーヴィチを読むべきである。今また過ちを繰り返し再び相似した世界を生み出しているロシアという国を想う。祖国を信じ、戦場へ向かった兵士たち。歴史がどのように動くかに関わらず、やはり彼らは元のままの人間として還ることはないのだろう。

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