シューベルト(1797-1828)

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CD 輸入盤

交響曲第8番『未完成』(ヴェンツァーゴ補筆完成版) マリオ・ヴェンツァーゴ&バーゼル室内管弦楽団

シューベルト(1797-1828)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
88985431382
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

マリオ・ヴェンツァーゴ、バーゼル室内管弦楽団
シューベルト:交響曲第8番『未完成』(ヴェンツァーゴ補筆完成版)


5つのオーケストラを振り分けて完成させたユニークな『ブルックナー:交響曲全集』で大きな話題となったスイスの鬼才指揮者マリオ・ヴェンツァーゴが、古楽から現代まで演奏スタイルを自在に変化させるスーパー・チェンバーオーケストラ、バーゼル室内管弦楽団との初顔合わせで成し遂げた、シューベルト『未完成』交響曲の完成版・世界初録音の登場です。『詩を読むだけで、たちまちのうちにそれにピッタリのメロディが頭に浮かび、ペンから迸り出るのだった』(ジョージ・グローヴ、1883年)とされるほどの天与のメロディ・メーカーだったシューベルトですが、交響曲の作曲ではそうはいかず、完成した4楽章性の交響曲7曲のほかに、未完の断片を数多く残しています。『未完成交響曲』として知られる交響曲第8番(第7番)ロ短調も、完成した最初の2つの楽章の他には断片的なスケッチが残されているだけです。スケッチは第3楽章のトリオまで問題なく進んでいたため、シューベルトが作曲を放棄した真の理由はわかっていません。

この交響曲は、1823年にグラーツ楽友協会から名誉会員の称号を授けられた返礼にシューベルトが同協会のアンゼルム・ヒュッテンブレンナーに贈ったものとされていますが、ヴェンツァーゴはライナーノーツの中で、そもそも未完の作品を贈呈することは非礼であるため、完成していた最初の2つの楽章だけを贈ったと考えるのは不自然であることを指摘し、また後続の2つの楽章の出来をヒュッテンブレンナーに批判されたため(あるいはそれらの出来が悪いと自分で判断して)本格的な作曲を断念したという説や、梅毒に感染し弱ったシューベルトが作曲を続けられなかったという思い込み(実際その後亡くなるまでの5年間で数多くの傑作を生み出しています)も、事実無根と退けています。

ヴェンツァーゴの説は、1823年にアン・デア・ウィーン劇場からヘルミーネ・フォン・シェジーの戯曲『キプロスの女王ロザムンデ』のための劇音楽を依頼された際に、舞台上演まで時間がなかったため(初演時に序曲として、『アルフォンソとエストレッタ』のそれを転用したように)、この交響曲の第4楽章の音楽を転用するべく急遽グラーツのヒュッテンブレンナーに楽譜の返還を求め、ヒュッテンブレンナーはスケルツォの2ページ目以降を作曲者に戻したが、それ以来楽譜は行方不明となった――というものです。

この交響曲を補筆完成させようとする試みは、イギリスの学者ブライアン・ニューボールドやジェラルド・エイブラハム、アメリカの学者ウィリアム・キャラガン、ロシアの作曲家アントン・サフローノフらによるものなど複数行なわれてきました。ヴェンツァーゴ自身も2007年録音のジョアン・ファレッタ指揮バッファロー・フィル盤で、ニューボールドと共同で補筆完成版に手を染めています。そうした場合作曲年代や編成が酷似していることから『ロザムンデ』の音楽(間奏曲第1番)が使われることが多かったのですが、ヴェンツァーゴもこの新しい補筆完成版で、『ロザムンデ』とこの交響曲の編成が同じことや、ロ短調という調性(『ロザムンデ』の第1曲・第2曲も同じ)という点を根拠に「もともと交響曲の第4楽章がロザムンデに転用された」という観点に立って、当時のシューベルトの交響曲の様式と理論的な調性関係を考慮し、『ロザムンデ』間奏曲第1番から素材を採って第4楽章を完成させています。また第3楽章は、主部については残された冒頭部分のオーケストレーションとスケッチをもとに肉付けし、トリオはやはり残されたスケッチをもとに『ロザムンデ』からの音楽(間奏曲第1番からの音楽素材で第4楽章の構成に使わなかったもの、および第6曲)を交えて、2つのトリオを持つスケルツォとして拡大構成されています。第4楽章のコーダの前に、第1楽章の主題を短く再現させているのはヴェンツァーゴによる独特のアイデアです。

「この交響曲の最初の2つの楽章は『急-緩』であって、従来の演奏に見られる『緩-緩』ではない」とするヴェンツァーゴは、第1・第2楽章を合わせて22分23秒というごく早めのテンポを設定し、自説を実証しています(全曲の演奏時間は約43分)。ピリオド奏法にも精通したバーゼル室内管弦楽団は、ヴァイオリンを左右に分けた両翼配置、ヴィブラートを抑制した弦楽パート、粒立ちの良いクラシカル・ティンパニを採用、生き生きとした透明感のある演奏を成し遂げており、ヴェンツァーゴとともにこの交響曲の「脱神話化」「古典化」を図るかのようです。(輸入元情報)

【収録情報】
● シューベルト:交響曲第8番(第7番)ロ短調D.759『未完成』(全4楽章/ヴェンツァーゴ補筆完成版)
 バーゼル室内管弦楽団
 マリオ・ヴェンツァーゴ(指揮)

 録音時期:2017年3月
 録音場所:バーゼル、シュタットカジノ内音楽ホール

収録曲   

  • 01. Symphony No. 8 in B minor, D. 759, "Unfinished" / I. Allegro Moderato
  • 02. Symphony No. 8 in B minor, D. 759, "Unfinished" / II. Andante Con Moto
  • 03. Symphony No. 8 in B minor, D. 759, "Unfinished" / III. Allegro - Trio 1 - Trio 2. Andante Un Poco Assai - Allegro (Reconstructed By Mario Venzago)
  • 04. Symphony No. 8 in B minor, D. 759, "Unfinished" / IV. Allegro Moderato (Reconstructed By Mario Venzago)

ユーザーレビュー

総合評価

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古い巨匠の演奏と比較すると大層速いテンポ...

投稿日:2021/04/09 (金)

古い巨匠の演奏と比較すると大層速いテンポだが、違和感はない。3,4楽章も従来の補完版と比べ工夫するなど、全体をよく統一している。4楽章の完成された見事なロ短調の大交響曲である。

顕 さん | 岐阜県 | 不明

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1,2楽章は早めのテンポでキリリと引き締...

投稿日:2018/09/21 (金)

1,2楽章は早めのテンポでキリリと引き締まった名演。問題は後半の2つの楽章。3,4楽章はシューベルトの書きかけの草稿とロザムンデの音楽を転用した曲から成り立っていて、 シューベルトが書いた部分はよく言われるように凡曲で退屈だし、フィナーレに至っては「早く終わってくれ」と思いながら聴いていた。1,2楽章では水がとめどなく順調に流れていたのに、3,4楽章になると停滞し始め遂には水は枯れてしまった・・・。そんな感じ。中途半端にロザムンデの音楽を使うくらいなら、はじめから原曲を全曲や、抜粋で演奏すればよいと思う。 モツレクと同じく安直な補筆完成はいい加減慎むべき。

akiapple さん | 大分県 | 不明

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素晴らしいシューベルトを聴いた ピリオド...

投稿日:2017/09/10 (日)

素晴らしいシューベルトを聴いた ピリオド奏法を用いたか否かは問題の外だ 先ずはテンポが完璧で 久しぶりにAllegro Moderatoの快適さとワクワク感を味わった テンポが放つ情趣を嗅ぎ分ける指揮者が少ない昨今だ もちろんAndante con motoの推進力を失わない平静さも最適に表現された ”ロザムンデ”から戻された幻の”第4楽章”も汲めども尽きない情緒表現の美しさに聞き惚れた ヴェンツァーゴには”ロザムンデ”全曲の録音を期待したい これまでニューボルトやキャラガンの補筆完成版で”未完成”の完成版を愉しんできたが このヴェンツァーゴ版は逆転の発想から驚くほど清新な完成版を聞かせてくれた 美しいそして面白いというのが率直な感想だ これが正解ではなくとも シューベルトの夢を見て過ごせる時間は当に至福 シューベルティアンはお聴きを  

風信子 さん | 茨城県 | 不明

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