コレア・デ・アラウホ、フランシスコ(1584-1654)

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    投稿日:2019/05/26

    ロバート・ベイツのオルガン演奏によるフランシスコ・コレア・デ・アラウホ「オルガン技法」の本格的全集。「オルガン技法」全69曲のうち、声楽曲2曲を除く67曲のオルガン演奏が収録されている。バッハの「フーガの技法」に100年以上先立つ1626年、スペイン・バロック音楽の黄金時代を代表するコレア・デ・アラウホのオルガン芸術を総結集して出版されたものだ。新大陸の代表的オルガンを駆使するロバート・ベイツの演奏は、非の打ちどころのないオーソドックスなものであり、本当に待ち望んだものがやってきた思いがする。「オルガン技法」の中心となっているティエントはファンタジアやリチェルカーレのような対位法的な曲種で、ディスクルソはクーナウやバッハの意味での練習曲に相当するが、コレアはこの2種を特に区別していないとされている。「オルガン技法」全69曲はいくつかのグループに分けて配列されている。第1のグループはティエントNo.1〜12の12曲で、これはマエストロとしての作曲および演奏の模範演技を示すためのセクションだろう。第1旋法(ドリア旋法)から第12旋法(変格イオニア旋法)の12の教会旋法の性格を色濃く反映した代表的な力作が揃っている。コレアは各曲に演奏の難易度(1:最も容易〜5:最高難度)を附しているが、この12曲は3〜4のやや難易度の高い曲が中心となっている。ティエントNo.1(ドリア旋法)では下降テトラコードを2つ連ねた形の主題に対して、反行主題が最初の展開部から現れ、途中音価を1/2、1/4、1/8とした縮小主題、シンコペーション、3拍子系へのリズム的変形、音形の細分化を伴った変形主題などが導入されて高密度にストレッタを形成し、バッハ「フーガの技法」の先駆けかとも思わせるほどの対位法的に複雑な様相を呈していく。しかしこのような高度に技巧的な曲は必ずしも「オルガン技法」の典型とは言えず、他のティエントでは、たとえばNo.4ではフリジアンらしい繊細さが味わい深く、No.8ではヒロイックな曲想が支配し、いずれも格別なものがある。続く第2グループ12曲は、難易度1〜3のシンプルな曲が集められている。No.25〜63には、同一鍵盤が2分割されて独立にレジストレーションが可能という、イベリア半島独特の機構を備えたオルガン用の曲が集められている。これらはほぼ難易度順に配列され、No.53からは難易度4、No.58からは難易度5の曲が続く。これらは、2分割レジストレーションされる鍵盤種、旋法、難易度などにより、細かくグルーピングされている。このグループの中では、バッハの「来たれ異邦人の救い主よ」BWV659にも似て、低くわだかまる低音部の上で高音部が美しく装飾的な旋律を奏でるティエントNo.39が特に印象深い。そしてNo.64〜66は世俗歌曲の編曲、No.67、68は宗教的歌曲(収録されず)、No.69は宗教的歌曲に基づく変奏曲で締めくくるという構成になっている。全体的に、難易度が次第に上昇するように配列されているが、対位法的密度が上昇するというよりも、重厚な和声、緩急の対比やメリスマの利いた華やかな高音部等々、演奏効果を狙ったと思われる曲、抒情的な旋律線を重視した曲など、バリエーション豊かに曲が続く。とこのように言うのも実はオリジナルのNo.順に聞いていけばの話で、実際の収録順はランダムに配列されているので、この曲集の仕組を知ることはほとんどできないだろう(CDは演奏するオルガンごとにまとめられ、曲の印象が偏らないように、押出しの良い重厚な曲から開始して、歌曲の編曲など軽めの曲を合間合間に交えていくという流れを基本にしているようだ)。何度も言っていることだが、このような大きな全集ものでは、収録順は作曲者の意図を重視して、オリジナルの曲順にできる限り忠実なものとして欲しいと切に思う。特に第1グループでは旋法の特徴が直に現れているのでなおさらなのだが。この「オルガン技法」、特に荘重なティエントの数々はいずれも教会堂の中で宗教儀式のために演奏されたものだろうが、1曲1曲を聴いてみれば宗教的雰囲気は希薄に思える。むしろ大自然の営みを想像させるような大きな音のうねりを感じさせると言おうか、たとえて言えば暗黒の夜空に流星が一つ二つと現れ、やがて全天がとりどりに明るく光を放つ流星雨の嵐に覆われていくというような感懐を抱かせられもする。この奇跡のような時間が続いて行く。

    六里庵 さん

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