【中古:盤質A】 ソナタ・ド・レクィエム、ピアノ三重奏曲　ベルトラン、他

澄み切った美しい世界
オリヴィエ・グレフ作品集

1950年にパリに生まれ、2000年に同地で急死した作曲家でピアニスト、オリヴィエ・グレフの両親はポーランド人で、医師だった父親はアウシュヴィッツからの生還者でもありました。オリヴィエは早くから才能を示し、3歳でピアノを学び始め、9歳で最初の作曲を発表します。その後、パリ音楽院とジュリアード音楽院に学び、かのルチアーノ・ベリオにも師事しましたが、その作風は機能和声や旋法を大切にしたもので、当時の現代音楽の主流だった無調、アヴァンギャルドといった過激な方向に向かうことはありませんでした。
　ショスタコーヴィチやブリテンに傾倒しながらも独自の音世界を守り続けたオリヴィエ・グレフでしたが、やがて、メータやプルーデルマッハー、ダルベルト、ダネル四重奏団、パスキエ、カプソン、グァルダといった名だたる演奏家たちから高く評価を受け、オリヴィエ・グレフ財団及びアパックス社が設立され、様々な作品が出版されています。

「私はこれまでにそんなにたくさんの作品をつくったつもりはない。もし私がこの多作ぶりについて自分自身にたずねるとしたら、私の人生は音楽そのものであるからだ、と答えるであろう。作曲することをやめたら、私は死ぬ。」
　これは、1998年、このＣＤに収録されているピアノ・トリオを書き終えたときの言葉です。一曲目は死を「喪失」「旅」「魂の黙想」という三つの観点から見つめた、死者への優しいなぐさめの音楽。二曲目のトリオは、ショスタコーヴィチを思わせる味付けのちょっとアクセントのきいた曲想です。
　「ソナタ・ド・レクイエム」は、1979年に書かれたチェロとピアノのための作品で、1992年に改訂されています。父親がアウシュヴィッツからの生還者であったことも影響してか、死を見つめる作品や瞑想的な音楽を多く書いたオリヴィエ・グレフですが(『広島/長崎カンタータ』や『戦争ソナタ』という作品もあります)、その見つめ方はやはり独特でした。

オリヴィエ・グレフ：
・ソナタ・ド・レクイエム(1979,1992改訂) op.283
　1.モルト・レント-アレグロ 11'38
　2.ノットゥルノ 6'43
　3.プレスト・ヴィヴォ-ピウ・レント 6'01
　4.クワジ・カデンツァ 7'52

・ピアノ三重奏曲(1998)
　1.深き淵より 8'49
　2.ジャヴァ 7'16
　3.ロマンツェ 9'26
　4.アッラ・ブレーヴェ 4'19

エマニュエル・ベルトラン（Vc）
パスカル・アモワイヤル（Pf）
アンティエ・ヴァイトハース（Vn）