グラス、フィリップ(1937-)

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CD 輸入盤

交響曲集(第1〜10番) デニス・ラッセル・デイヴィス(11CD)

グラス、フィリップ(1937-)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
OMM0104
組み枚数
:
11
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


フィリップ・グラス交響曲集(第1〜10番)
デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)


フィリップ・グラスが、「交響曲」と名付けられた音楽の世界に足を踏み入れたのは50代なかばのことで、きっかけとなったのは、ロック歌手デヴィッド・ボウイのベルリン時代のアルバム『ロウ』に刺激を受け、その世界をグラス流にオーケストラで示すというものでした。
 以後の20年間、通常の概念とは大きく異なる「交響曲」を書き続けて全部で10曲を発表、内訳は、デヴィッド・ボウイ系が2作品(No.1・4)、標題系が3作品(No.4・5・6・7)、純器楽系が5作品(No.2・3・8・9・10)で、それらをまとめたのがこの交響曲ボックスとなります。
 もしかするとデイヴィッド・ボウイ追悼の意味合いもあるのかもしれません。2500セットの限定生産。

【交響曲第1番】
1992年に書かれた交響曲第1番『ロウ・シンフォニー』は、1976年に制作されたデヴィッド・ボウイの力作『ロウ』の単なる読み替えというにとどまらぬ作品。タンジェリン・ドリームやクラフトワークなどジャーマン・ロックの影響を受け、環境音楽家でもあるブライアン・イーノと共にデヴィッド・ボウイが新たな境地を見せた『ロウ』の魅力をオーケストラで伝えています。
 初演と初録音は、グラス作品のスペシャリストでもあるデニス・ラッセル・デイヴィスがおこなっていましたが、ここでは20年ぶりに再録音して、より表現力を増した演奏が収録されています。ブルックリン・フィルからの委嘱作。

【交響曲第2番】
親しみやすい作風の3楽章構成。ミニマル・ミュージックを発展させた自在な音楽は迫力十分。ブルックリン・フィルからの委嘱作。

【交響曲第3番】
弦楽合奏のために書かれた作品。楽員ひとりひとりを協奏曲のソリストのようなイメージで描く作品。複雑なリズムによるスリリングな表現から、シャコンヌや美しい抒情まで味わい深い4楽章構成の作品。シュトゥットガルト室内管弦楽団の委嘱作。

【交響曲第4番】
副題は『ヒーローズ・シンフォニー』。1992年の『ロウ・シンフォニー』が大きな話題となったことを受けて、4年後の1996年に発表されたデヴィッド・ボウイ題材の第2作。元ネタは、アルバム『ロウ』の翌年、1977年に制作されたデヴィッド・ボウイの同趣向のアルバム『ヒーローズ』。ここでも同様のスタンスで交響曲第4番『ヒーローズ・シンフォニー』として仕上げています。
 初演と初録音は、グラス作品のスペシャリストでもあるデニス・ラッセル・デイヴィスがおこなっていましたが、ここでは20年ぶりに再録音して、より表現力を増した演奏が収録されています。

【交響曲第5番】
『レクイエム, 吟遊詩人, 顕現』という副題を持つ声楽付きの大規模作品。ザルツブルク音楽祭からの委嘱作。ギリシャ語、ヘブライ語、サンスクリット語、アラビア語、中国語、日本語など世界各地の言語を英訳したテキストを用い、天地創造や、人間の愛、喜び、苦しみ、思いやり、死、審判、楽園などについて多角的な視点で描いた演奏時間90分を超える壮大な作品。
 古代インドのバラモン教の聖典「リグ・ヴェーダ」やコーラン、ハワイの神話「クリムポ」、マタイ受難書、ヨブ記、チベットの死者の書、ヴィシュヌ・プラーナ、小野小町の歌、芭蕉の句等々さまざまな題材を通じてグラスが描き上げる人間賛歌。

【交響曲第6番】
『プルートニアン・オード(冥界の頌歌)』と名付けられたこの作品は、グラスと交流のあったアメリカの詩人アレン・ギンズバーグ[1926-1997]が1982年に書いた『プルートニアン・オード』を題材に用いたソプラノとオーケストラのための交響曲。原詩に対応させ、第1楽章はプルトニウムや公害による環境破壊や汚染についての抗議、第2楽章では救済と癒し、第3楽章最後の部分では思索と真実の探求が描かれています。カーネギー・ホールとリンツ・ブルックナー管弦楽団からの委嘱作。

【交響曲第7番】
副題は『トルティック・シンフォニー』。紀元前500年から500年頃まで、中央アメリカに存在したとされる古代文明について書かれた作品。「トウモロコシ」、「ヒクリ」、「青い鹿」の3楽章構成。ちなみにヒクリとは幻覚作用のあるサボテンの名前で聖なる根とも言われています。ナショナル交響楽団からの委嘱作。

【交響曲第8番】
この作品は特定の題材や声楽テキストとの関係を持たない第3番以来となる純交響曲。リンツ・ブルックナー管弦楽団からの委嘱作。

【交響曲第9番】
第9番までで亡くなってしまう作曲家が多いというジンクスを意識したグラスは、第9番初演前に第10番を完成させていたという周到さでした。作風は純交響曲スタイルで、調性にはベートーヴェン、ブルックナーと同じくニ短調を採用しています。カーネギー・ホール、ロサンゼルス・フィル、リンツ・ブルックナー管弦楽団の共同委嘱。

【交響曲第10番】
デニス・ラッセル・デイヴィスがフランス国立青少年管弦楽団芸術監督30年を記念した委嘱作。純交響曲スタイルですが、これまでのグラスの作品も回想されるなど、これで交響曲を締めくくってしまうかのような面も見せます。(HMV)

【収録情報】

Disc 1
● 交響曲第1番『ロウ』(1992)[46:43]
 I. 地下室 16:08
 II. サム・アー 11:11
 III. ワルシャワ 19:24

 バーゼル交響楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

 録音時期:2012年1月11,12日
 録音方式:ステレオ(デジタル)

Disc 2
● 交響曲第2番(1994)[43:14]
 I. Lento - allegro moderato 17:37
 II. Presto 13:42
 III. Adagio 11:55

 ウィーン放送交響楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 3
● 交響曲第3番(1995)[24:28]
 I  04:37
 II  06:15
 III  10:07
 IV  03:29

 シュトゥットガルト室内管弦楽団 -
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 4
● 交響曲第4番『ヒーローズ』(1996)[50:13]
 1. ヒーローズ 9:28
 2. アブドゥルマジード 9:24
 3. 疑惑 7:29
 4. 沈黙の時代の子供たち 8:37
 5. ノイケルン 7:58
 6. V-2シュナイダー 7:17

 バーゼル交響楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

 録音時期:2012年
 録音方式:ステレオ(デジタル)

Disc 5 & 6
● 交響曲第5番『コラール』 (1999)[96:49]
 I  Before the Creation   6:56
 II  Creation of The Cosmos   6:36
 III  Creation of Sentient Beings   7:41
 IV  Creation of Human Beings   7:27
 V  Love and Joy   8:23
 VI  Evil and Ignorance   5:56
 VII  Suffering   8:29
 VIII  Compassion   9:14
 IX  Death   8:38
 X  Judgment and Apocalypse   8:52
 XI  Paradise   8:32
 XII  Dedication of Merit   10:03

 アナ・マリア・マルティネス(ソプラノ)
 デニス・グレイブス(メゾ・ソプラノ)
 ミヒャエル・シャーデ(テノール)
 エリック・オーウェンズ(バリトン)
 アルベルト・ドーメン(バス・バリトン)
 モーガン州立大学合唱団
 ハンガリー放送少年合唱団
 ウィーン放送交響楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 7
● 交響曲第6番『プルートニアン・オード』 (2002)[50:43]
 Movement I 20:50
 Movement II 11:27
 Movement III 18:26

 ローレン・フラニガン(ソプラノ)
 リンツ・ブルックナー管弦楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 8
● 交響曲第7番『トルティック』(2005)[34:46]
 Movement I 「トウモロコシ」 11:23
 Movement II 「ヒクリ」    10:28
 Movement III 「青い鹿」  12:55

 リンツ・ブルックナー管弦楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 9
● 交響曲第8番 (2005)[34:42]
 Movement I 19:27
 Movement II 12:18
 Movement III 06:57

 リンツ・ブルックナー管弦楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 10
● 交響曲第9番 (2012)[49:53]
 Movement I 14:18
 Movement II 20:05
 Movement III 15:30

 リンツ・ブルックナー管弦楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

Disc 11
● 交響曲第10番 (2012)[31:45]
 Movement I - 6:15
 Movement II - 7:07
 Movement III - 5:42
 Movement IV - 6:17
 Movement V - 6:24

 リンツ・ブルックナー管弦楽団
 デニス・ラッセル・デイヴィス(指揮)

収録曲   

ディスク   1

  • 01. Symphony No.1 "Low" Sinfonieorchester Basel
  • 02. 1. Movement I - Subterraneans 16:08
  • 03. 2. Movement II - Some Are 11:11
  • 04. 3. Movement III - Warsawa 19:24

ディスク   2

  • 01. Symphony No.2 Vienna Radio Symphony Orchestra
  • 02. 1. Movement I 17:37
  • 03. 2. Movement II 13:41
  • 04. 3. Movement III 11:59

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ミニマル音楽の大家、フィリップ・グラスの...

投稿日:2021/03/15 (月)

ミニマル音楽の大家、フィリップ・グラスの交響曲集。「全集」ではない。リリース当時は「全集」であったが、現役の作曲家であるグラスは、現在、交響曲第11番を完成しており、デニス・ラッセル・デイヴィスはそちらも録音済だ。グラスの作品は、現代音楽ではあるが、その音色は保守的で、和声も古典的なものが重視されている。旋律も美しいが、ミニマルという作法ゆえに、コアなクラシック・ファンからは敬遠されがちで、やや軽く扱われている感があるが、この交響曲集はなかなか聴きごたえがある。個人的には第9番は傑作だと思うし、第6番、第7番、第8番も良いと思う。第1番と第4番は、デヴィッド・ボウイの同名のアルバムの素材を用いている。用いている素材の中には、デヴィッド・ボウイの同名のアルバムの通常版には収録されていない楽曲も含む。デヴィッド・ボウイのアルバム自体が、アンビエントの権威、ブライアン・イーノとの共作なので、クラシックやミニマルとの親和性がある。第5番から第7番までは声楽を伴う。第5番は採用したテキストからして汎世界的と形容したい世界観であり、収録曲中最大の規模を誇る。第6番から第8番までは、映画音楽的な面もあるが、分かりやすい劇性があり、カッコイイところも多く、純粋に楽しめるだろう。第9番は、前述の通り、個人的にグラスの最高傑作だと思う。深刻な曲想、熱狂と退廃を描いて、静かに終結していく様はドラマティックで、聴き手の心を大いにざわめかせてくれる。受け取るエネルギーの大きさと言う観点で、グラスの代表作に相応しい。当曲集に収録されなかった第11番も良い曲である。当全集を気に入ったなら、是非そちらも入手をオススメする。

ココパナ さん | 北海道 | 不明

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