新世紀スタンダード

世界中で活躍するジャズ・ピアニスト、プロデューサー、そして、数々のアニメ作品に参加してきたクリヤ・マコトが新時代に問いかけるアニメ・カバー・アルバム。クリヤのピアノを中心に、精鋭ミュージシャン達の卓越したプレイと、抜群のアレンジにて、曲により女性シンガーをフィチュアした歌ものとインストで構成。心地良いオーガニック・サウンドの中に奥深い表現力が光る傑作。

クリヤ・マコト(pf/prog)、納浩一(b)、村上広樹(ds)、早川哲也(b)、コモブチキイチロウ(b)、天倉正敬(ds)、中丸達也(perc)、紗理(vo/cho)、KOTETSU(cho)、CHAKO(cho)

【クリヤ・マコト旅先にて】

ぼくは今ヨーロッパ・ツアーのまっただ中だ。ヨーロッパに限らず世界中のどの都市へ行っても、日本のアニメーションは本当に大人気である。
2010年にエジプトのカイロ・ジャズフェスティバルに出演した翌日、ナイル河のクルーズで歌っていた歌手が、劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」で使用された「Fly me to the moon」のカラオケを使っていたり、パリの地下鉄で日本のアニメが大好きだという南米チリの少年に出くわしたり、さらに毎年インドネシアのジャカルタで行われる「JKT-JAPAN MATSURI」というイベントには、アニメ大好きな若者たちが10万人も集まってきていた。
地元のビッグバンドに客演したぼくが、司会者に促されて「Thanatos（劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ曲）」のさわりを弾いたら、大きな歓声がわき起こって驚いた。
ぼくが最初のアニメ・カバーアルバム「ANTITHESIS」をリリースしたのは、新世紀エヴァンゲリオンがブレイクした直後だった。当時のアニメ人気は一過性のものじゃなく、そういったサブカルチャーこそが日本文化の主流になって、影響力を持つ時代が来るという予感があった。そして、みんなが親しんでいるアニメ・テーマ曲のようなものが、これからの新しいスタンダードナンバーになっていくんじゃないかと思って録音した作品だ。今にして思えば、あの作品は今日数多く見られるアニメ関連カバー・アルバムの先駆けとなった作品の一つじゃないかと思う。
2012年、テレビ版からサントラに参加し続けてきた「新世紀エヴァンゲリオン」の、劇場版新作が公開されるこの年の年末に、新たなカバー・アルバムをリリースできることになったのをとても嬉しく思う。オリジナルとはちょっと違う、ジャジーなバージョンのアニソンをお楽しみください。

【クリヤ･マコト プロフィール】

神戸生まれ。アメリカ、ウエストヴァージニア州立大学言語学部卒業。
在学中から地元ライブハウスなどで音楽活動を始める。卒業後、本格的にジャズ・ピアニストとして活動を開始し、グラミー受賞者チャック・マンジョーネ、 民族音楽学権威ネイサン・デイヴィス教授のグループに参加して全米をツアー。各地のジャズ・フェスティバル、ＴＶ番組に出演するほか、ドナルド・バード、トゥーツ・シールマンス、ジェームズ・ムーディー、トム・ブラウンなど多くの巨匠たちと共演。
また、ピッツバーグ大学でジャズの講師を務める。さらに米国内にて、ファースト・リーダー・アルバム「Always Your Friend」をリリース。

1990年に帰国し、日野皓正グループに参加してツアーを行うほか、マービン・スミッティ・スミス、ジェームズ・ジナス、ゲイリー・トーマスなどの旧友を迎えたアルバムを発表。本格的なソロ活動をスタートする。

現在までに15枚のリーダー作をリリース。1998年には人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングテーマを演奏したことをきっかけに、今日のブームに先駆けてアニメーション・テーマ曲のジャズカヴァー作品をリリース。話題を集めた。現在まで継続して、同アニメ・シリーズのサウンドトラックに参加している。総勢27名の名アーティストを迎え、ジャズの多様性を表現し、内外で高い評価を得ている。　また高い音楽性が信頼を集め、数々のコラボレーション、コンサート、イベントの音楽プロデュースを担当。ジャズでは伊東たけし、MAYA、牧山純子など、ポップスでは平井堅、土岐麻子などの楽曲提供もしている。