ねじ式はなかなか難解な作品ですね。フロイトとかの域に達しているような、漫画というよりも文学、芸術作品と言った方がいいかも知れません。

おそらく、つげ先生の青少年期の自伝的な作品なのでしょうが、閉塞感、無力感が強く感じられる中でも、生きていく強ささえも感じられるのが大きな魅力です。

月並みですが、やはり海辺の叙景が一番良いですね。李さん一家のようなやや明るい作品がある一方で、沼のような暗い作品もあって、つげ先生らしい奥の深い作品を楽しめます。

男なら誰しも一度は、無能の人のような、堕落した世捨人的な生活に憧れるのでは？そういう自分の内面を描くというのは勇気のいることだと思います。

つげ義春ファンとしては、すべての作品を読んでおきたいと思って購入しましたが、さすがに物足りなさを感じました。でも、末永く持っていたいと思います。

紅い花はもちろんのこと、もっきりやの少女、やなぎ屋主人もとても面白く、かなりお得な一冊だと思います。この一冊で完全につげ先生にハマってしましました。

つげ義春は漫画も面白いけれども、紀行文やイラストもしみじみとした味わいがあってとても良いです。単なる漫画家というよりも、正に芸術家だと思います。

若き日のつげ先生の作品は晩年の作品に比べると奥深さはイマイチですが、つげ先生らしい無常感が滲みるものも多く、魅力的です。お化け煙突に特に感動しました。

つげ先生の作品の中では少し格落ちという感じがしますが、こういう作品を描きながら、少しずつ芸術性を高めていったことを思えばやっぱり外せない作品だと思います。

白土三平の影響を感じられる作品が多いですが、つげ先生らしい無常感が色濃く出ていて、やはり唯一無二な存在だと思います。それにしても、鬼面石は悲しすぎる作品ですね。