まずこのBOX1枚ずつ厚紙のケースに収められているだめ、16枚の割には、かなり箱が大きくなっています。厚紙ケースにするならオリジナル・ジャケットにしてくれればさらによかったのですが・・・というのは欲張りでしょうか?あとは、ディスクごとの合計時間がどこにも記載されていないことが不満です。ともかく、近年気に入って集め続けているシャイーの録音が、このようにしてまとまって手に入ったのはとても満足なことです。すでに持っているCDとのカブリがわずか1トラック(シェーンベルク:浄夜=29:57)のみというのも奇跡的なことです。それでは順番に感想を・・・@ブルックナー:交響曲第7番○曲自体を聴くのが初めてでしたが、オペラ指揮者の真骨頂とでも言うべきでしょうか、ブルックナー独特のメロディを実にうまく歌わせており、気持ちよく最後まで聴くことができます。Aチャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』、交響的幻想曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』○ジョージ・セルが鍛え上げた精緻なアンサンブルが魅力のクリーヴランド管をうまく指揮して、チャイコフスキーがコンパクトにまとめたドラマの世界をドラマティックに表現しています。Bチャイコフスキー:交響曲第5番シャイーのデッカへの最初の録音として知られる名演。天下のウィーン・フィルを自在にドライヴしながらも、そのサウンドのバランスを失わせないところはオペラ指揮者の手腕なのか、それともデッカの録音技術なのか・・・。ともかく、私は『悲愴』よりこちらの方がよく聴く曲なので、楽しめました。Cドヴォルザーク:序曲『謝肉祭』、交響曲第9番『新世界より』○1988年、ベルナルト・ハイティンクの後任として、オランダ人以外で初の首席指揮者に就く直前の録音。今さら言うまでもありませんが、コンセルトヘボウという極上のホールを生かした響きの豊かな録音が耳に心地よいです。Dメンデルスゾーン・ディスカヴァリーズ○メンデルスゾーンゆかりのゲヴァントハウスの楽長を2005年から務めるシャイーは、独自の考古学的(?) 視点で掘り出し物の録音を行いました。少しマニアックで、メンデルスゾーンをあまり聴かない私はあまり驚くこともできませんでしたが、なかなか面白い試みではあります。Eロッシーニ:序曲集(10曲)1970年代からナショナルフィルと長大作『ウィリアム・テル』の全曲録音や14曲の序曲の録音(未聴)を行っていたシャイーが、10曲に絞って本場ミラノで再録音したもの。見通しのよい録音が、ロッシーニの音楽的才能を十分に伝えてくれます。Fバルトーク:管弦楽のための協奏曲、バレエ『中国の不思議な役人』(全曲)○文字どおり各楽器が次々に活躍する「管弦楽のための協奏曲」は名手の集団であるコンセルトヘボウの十八番ともいえるでしょう。前任者ハイティンクの録音も所持していますが、聴き比べまでには至っていません。Gガーシュウィン:名曲集○若い頃にジャズも学んだというシャイーが、満を持して録音したガーシュウィン。「ラプソディー」の冒頭から実にスウィングにあふれた演奏です。またここではピアノの左右の手をラベック姉妹が弾き分けるという芸当を見せていることでも知られた録音です。