ベストセラーになったので今更レビューを書くまでもないのだが、とにかく面白い。メディアワークス文庫版でシリーズ全部読んだ。ミステリーとして一級品だが、若い頃から古書店巡りをしてきた私にとって、古書に関する蘊蓄も楽しい。物語がどう展開していくか先へ先へとページをめくりたくなるが、ちょっとしたところに後の出来事に繋がる伏線が張ってあるのてで油断ならない。心温まるエピソードも多く、ミステリーを離れても読みがいがある(たとえば、第３話「論理学入門」は胸に迫る)。登場人物が丁寧に描かれていて血が通っておりリアリティがある。若い二人の互いへの想いがどう進展していくのかジリジリしながら、はるか遠くなった青春時代を思い出してしまった。つばさ文庫で小学校高学年から読めるようになったそうなので、孫がもう少し大きくなったら買ってあげようかと思っている。

前作の完成度が高かったので、シリーズ化は嬉しさと残念さが半々だが、終りは見えているようなので、ダラダラと続かなければ良しとしたい。おそらくネタ切れになると思うので、余程の編集者がいなければ続かないだろうし。

ビブリア古書堂事件手帖シリーズ第一弾。古本にかけては周りがいっさい見えなくなる栞子と本が読めない五浦青年がおりなす古書ミステリー浪漫譚。著名な作家の代表的な名作の初版本に関するトリビア的な情報が出てきたりして古書好きには飽きのこさせない内容で最後まで面白く読ませてもらいました。