稀代の名ベーシスト、アルフォンソ・ジョンソンのEpicにおける3枚のリーダーアルバムを2枚に収めた廉価バージョン。ちゃんとRemasterされていて音質、音圧とも納得できるレベル。 1枚目のMoonshadowsはナラダ・マイケル・ウォルデンを軸にフローラ・プリム、リー・リトナー、ウンドゥグ・レオン・チャンクラーなどが参加した初リーダーアルバムらしい多彩な音楽性が聴かれます。「On The Case」ではまだ若きリトナーのイケイケギターソロもあって楽しめます。 2枚目のYesterday’s Dreamは1曲目でいきなり豪華メンツによる歌物R＆Bが始まり面食らいますがとてもカッコいいです。その後も割と聴きやすい曲が続きますが昔で言うB面に入ったあたりから徐々にロック＆プログレ化して行き本人の本性が明らかになってきます。演奏で言うとレイ・ゴメスのロックっぽいブルージーギターがとてもカッコいい！あとヘッドハンターズやブランドXで有名なマイク・クラークの切れのいいドラムスも肝です。 そして2枚目9曲目からのSpellboundはこれこそアルフォンソの本領大発揮の名盤！ほとんど不動の固定メンバーでプログレチックな世界を描きだしています。アルフォンソ自身のうまくはないがとても個性的で雰囲気のあるリードヴォーカルも曲の世界にマッチしていてGood。ゲスト参加のパット・スリルのギターもロックしていてカッコいい。 肝心のアルフォンソのベースはもう3枚通して言うことなしの大活躍。ウエザー・リポート出身という事ではあまりに後任のジャコが偉大すぎて、ともすれば隠れがちでありますがこんな弾力があってファンキーでプログレッシヴなベースプレーヤーは過去にはいません。（ベースだけでなくチャップマンスティックもね。） とにかくこの値段でこの内容、超お得です！

「異次元世界のジャズ」と喩えるべき独創性。３０年前には時代より進みすぎていたと思える、現在でも通用する先進性。ピックアップを逆相にすることで高音を強調したフレットレス・ベースと、プログレッシブ・ロック風のバックバンドとの組み合わせが絶妙。 ８曲目のホワイトノイズの裏に疑問を感じるならば、いつの日か「時空の歪み」を偽体験するかもしれない。

ウエザーリポートに在籍していた時から、ベースらしからぬフレーズを弾くベーシストとしてスタンリークラークと比較されることの多い彼だが、ソロアルバムからのベストトラックばかりを集めたと言っても過言ではない選曲に思わずほくそえんでしまいます。ベースらしからぬベースが聞きたかったらこれはお薦め！